
「いつかはドゥカティ!」多くのライダーが抱く憧れ。
その独特のデザイン、 Lツインエンジンの鼓動、そしてレーシングシーンでの輝かしい歴史は、まさにライダーの心を鷲掴みにします。
しかし、ネットの検索窓に「ドゥカティ」とググると、なぜか「後悔」というワードが続くことがあります!
一体なぜ、これほどまでに魅力的なDUCATIが、時に欠点となりうる「後悔」という言葉と結びつけられるのか?
私は二級二輪整備士として、長年多くのバイクに触れ、その特性やオーナーの声を聞いてきました。その中で、DUCATIに関する「後悔」の真実、そして「欠点」の裏側にある現実を肌で感じています。
この記事では、プロの整備士としての視点から、ドゥカティに乗る人の理由とその根拠を深掘りし、その上でドゥカティというバイクの本質に迫ります。
果たしてドゥカティは本当に「後悔」するバイクなのか?それとも、乗り手との相性の問題に過ぎないのか?その答えを、これから明らかにしていきます。
■この記事でわかること
- ドゥカティに「後悔」のワードがあるのはなぜ?
- プロの私が見るドゥカティの欠点とは?
- そもそもドゥカティの信頼性を調査
- ドゥカティに乗る人のイメージを検証
- 【まとめ】二級二輪整備士のプロの目
ドゥカティに「後悔」のワードがあるのはなぜ?

ドゥカティというブランドは、その圧倒的な魅力の裏で、なぜ「後悔」という言葉が囁かれるのでしょうか。
その背景には、主に以下の4つの理由が考えられます。これらは、ドゥカティが持つ独自の特性や、それを知らずに購入してしまった場合に生じるギャップから生まれるものです。
高額な維持費と特殊なメンテナンス
ドゥカティを所有する上で、多くのオーナーが直面するのが、その維持費の高さです。
特に、ドゥカティの心臓部であるデスモドロミックバルブシステムは、一般的なバイクとは異なる特殊な構造(バルブの開閉を強制的に行う機構)を持っています。
このため、定期的に行われる「デスモサービス」と呼ばれるバルブクリアランス調整は、高度な技術と専用工具を必要とし、その工賃は国産車と比較して非常に高額になる傾向があります。

ドゥカティ・デスモサービス
出典ドゥカティ公式
例えば、モデルにもよりますが、12,000kmまたは24,000kmといったサイクル(モデルによってはさらに短い場合も)でこのデスモサービスが訪れ、その費用は一度に10万円を超えることも珍しくありません。
加えて、タイミングベルト(タイミングチェーンではないことが多い)の交換も定期的に必要となり、これも高額な整備項目の一つです。
また、交換部品も当然ながら純正品は国産品に比べて高価であり、タイヤやブレーキパッドなどの消耗品の交換一つとっても、維持費がかさむ要因となります。
高性能エンジンと特殊なメカニズムは、それに見合ったメンテナンスコストを要求し、これを事前に把握していないと「こんなにかかるのか…」と後悔に繋がることがあります。
小回りが効かない問題
ドゥカティの多くのモデルは、サーキット走行やワインディングロードでのパフォーマンスを最大限に引き出すように設計されています。
そのため、エンジンはピーキーな特性を持ち、低回転域でのトルクが不足しがちで、発進や低速での取り回しにはある程度の慣れが必要です。
特に、渋滞路での発進・停止を繰り返すような街乗りでは、トルクの薄さからギクシャクしやすく、またクラッチ操作が国産車と比較して重く、握力が必要となるため、長時間の街乗りは疲労に繋がりやすいという声も聞かれます。
さらに深刻なのが熱問題です。ドゥカティのLツインエンジンは、その構造上、後方シリンダーがライダーの足元、特に右足周辺に位置することが多く、エンジンの熱が想像以上にこもりやすいという特性があります。
夏場の渋滞時や、信号待ちなどで停車している間は、この熱が火傷するのではないかと感じるほど不快に感じられ、短時間の移動でも汗だくになることがあります。
また、停車中に電動ファンが常に轟音を立てて稼働しているような状況も珍しくなく、これが「街乗りでの不便さ」として後悔に繋がるケースが少なくありません。
電子制御の複雑さと修理コスト
現代のドゥカティは、トラクションコントロール、ABS、ライディングモード、クイックシフターなど、高度な電子制御システムが標準装備されており、その性能は目覚ましいものがあります。
これらのシステムはライディングを安全かつ快適にする一方で、その複雑性ゆえにトラブルが発生した場合の診断や修理は非常に専門的になります。
センサーやECUなどの電子部品が故障した場合、診断には専用のコンピューターとソフトウェアが必要であり、対応できるショップも限られます。
部品自体も高価であり、例えばECU交換となれば数十万円単位の出費となることもあります!
また、電子制御関連のマイナートラブルが稀に発生した場合、原因の特定に時間がかかったり、部品の取り寄せに時間を要したりすることがあり、これが「修理に時間もお金もかかる」という後悔の原因となります。
リセールバリューの課題と車両価格の下落
ドゥカティは新車価格が高価なプレミアムブランドですが、リセールバリュー(再販価格)の面で国産車に劣るケースがあることも、後悔に繋がる要因の一つです。
特に、人気が集中する一部の限定モデルやフラッグシップモデルを除くと、年式が古くなったり走行距離が増えたりすると、買取価格が大きく下落する傾向が見られます。
これは、特殊なメンテナンスが必要であることや、維持費の高さ、そして市場の需要が国産車ほど広くないという要因が複合的に作用しているためです。
新車で購入した際、「いつか売却する時に高値で売れるだろう・・」と期待していたオーナーが、いざ手放そうとした時に想像以上の安値しかつかず、「こんなに価格が下がるのか・・」と後悔するケースが少なくありません。
特に、高額なカスタムを施した場合でも、それがそのままリセール価格に反映されることは稀であり、カスタム費用が無駄になってしまうと感じることもあります。
プロの私が見るドゥカティの欠点とは?

二級二輪整備士として、日々さまざまなバイクの修理やメンテナンスに携わる中で、ドゥカティの「欠点」として感じる点もいくつか存在します。
これは、一般的なユーザーがあまり意識しないような、整備の現場だからこそ見えてくる側面です。
専用工具と専門知識が必須な整備性
ドゥカティの整備においては、専用工具の存在が非常に重要です。例えば、Lツインエンジンのデスモドロミックバルブの調整には、特定の測定器具や調整用シム、さらには特殊な工具が必要不可欠になります。
これらは一般的なバイクショップでは揃えていないことが多く、結果としてドゥカティの整備は正規ディーラーや専門ショップに限られてしまう傾向にあります。
これは、オーナーにとっては「気軽に近所のバイク屋に持ち込めない・・」という不便さに繋がり、整備費用が高額になる一因でもあります。
また、DIYでのメンテナンスも一部は可能ですが、エンジンの主要部分に手を入れるとなると、専門知識と経験、そして適切な工具がなければ非常に困難であり、最悪の場合は車両を損傷させるリスクも伴います。
整備性の特殊さが、気軽にメンテナンスを依頼できないという点で、オーナーの負担となることがありますね。
熱対策の課題と部品の劣化
ドゥカティのLツインエンジンは、その高性能ゆえに発熱量も大きいです。特に、後方シリンダーからの熱は走行中もライダーの足元に伝わりやすく、夏場の渋滞時などでは不快に感じるだけでなく、周辺の部品にも熱による影響が出ることがあります。
例えば、熱にさらされ続けることで、ハーネス(配線)の被膜が硬化・劣化したり、ゴム部品やプラスチック部品が早期にひび割れを起こしたりするケースを稀に見かけます。
燃料タンク下のエアボックス周辺の部品や、リアサスペンション付近の配線などは、特に熱の影響を受けやすい部分です。
これらの部品の劣化は、将来的な電気系統のトラブルや異音の原因となる可能性があり、プロの目から見ると改善の余地があると感じます。
部品の供給体制と納期遅延
ドゥカティの部品は、多くがイタリア本国で製造されています。
そのため、国内に在庫がない部品や、特定のマイナーなパーツ、あるいは旧モデルの部品などが必要になった場合、イタリアからの取り寄せが必要となります。
これが、部品の供給体制と納期における課題を生んでいます。
例えば、転倒などで外装部品が破損した場合や、特定のエンジンパーツに不具合が見つかった場合、その部品が届くまでに数週間から数ヶ月に及ぶことも珍しくありません。
この供給遅延は、修理期間の長期化に直結し、結果としてオーナーのバイクライフを一時的に中断させてしまう原因となります。
国産車であれば数日で届くような部品が、ドゥカティでは待たされるという現実は、時にオーナーの忍耐力を試すことになりますね。
アフターマーケットパーツの選択肢の制限
ドゥカティは人気ブランドではありますが、国産バイクと比較すると、アフターマーケット(社外品)のカスタムパーツや補修部品の選択肢が限られているという欠点があります。
特に、特定のモデルや年式に特化した部品になると、入手が困難になったり、純正品以外の選択肢がほとんどなかったりする場合があります。
これは、ライダーが個性を出したいとカスタムを考えた際に、選択肢が少なくて不満を感じたり、修理が必要になった際に純正部品以外でのコストダウンが難しくなったりする要因となります。
もちろん、アエラやオーリンズといった有名ブランドからは多くのパーツが出ていますが、よりニッチな部品や、コストパフォーマンスを重視した選択肢が少ない点は、プロの視点から見るとユーザーの利便性を損ねる可能性があると感じます。
高性能で個性的なバイクであるからこそ、一般的なバイクとは異なる特性や制約があることを理解しておくことが、ドゥカティとの良好な関係を築く上で非常に重要になります。
そもそもドゥカティの信頼性を調査

「ドゥカティは信用できるのか?」「安心安全?」――かつてはまことしやかに囁かれていたこの噂。
しかし、果たしてそれは現代においても当てはまるのでしょうか?プロの目線から、ドゥカティの信頼性の実態を紐解いてみましょう。
過去から現在への信頼性の変遷
ドゥカティの信頼性に関する認識は、その歴史の中で大きく変化してきました。
確かに、1990年代から2000年代初頭にかけてのモデルでは、電装系のトラブルやオイル漏れ、細かなパーツの破損といった問題が散見されたのも事実です。
当時のドゥカティは、良くも悪くも「イタリアンクオリティ」という言葉で語られることがあり、国産車のような盤石な信頼性とは一線を画していました。
しかし、2012年にアウディ傘下に入って以降、ドゥカティの品質管理体制は劇的に改善されました。
ドゥカティ純正スペアパーツは最高のパフォーマンス、信頼性、スタイルのために作られました。
あなたのドゥカティの本来の輝きを内側から取り戻す、メンテナンスのパートナーです。
詳細→https://t.co/NQvP4At81e pic.twitter.com/R5l7AlO4jI
— ドゥカティジャパン株式会社 (@ducati_japan) July 2, 2024
自動車メーカーであるアウディの厳格な品質基準が導入され、製造プロセスにおける検査体制が強化された結果、現代のドゥカティは過去のイメージを払拭するほどに信頼性が向上しています。
実際に、近年のモデルでは、以前のような頻繁なトラブル報告は格段に減少し、日常使用における安心感は国産ビッグバイクと遜色ないレベルに達していると私は感じています。
初期不良の減少や、主要部品の耐久性の向上は、整備現場でも肌で感じられる変化です。
信頼性を保つための「正しい」付き合い方
現代のドゥカティが信頼性を向上させたとはいえ、その高性能を維持し、長く乗り続けるためには、オーナー側の**「正しい」付き合い方**が非常に重要になります。
最も重要なのは、定期的な点検と適切なメンテナンスを怠らないことです。特に、前述のデスモサービスを含む定期点検は、ドゥカティのエンジン性能を維持し、トラブルを未然に防ぐ上で不可欠です。
正規ディーラーやドゥカティ専門の整備工場では、専用の診断ツールや最新の情報が常に共有されており、車両の状態を正確に把握し、最適なメンテナンスを提供してくれます。
また、国産車と比較して、ドゥカティはエンジンの熱管理やデリケートな電子制御システムを考慮した乗り方が求められます。
例えば、エンジンが完全に温まる前に高回転まで回さない、夏場の渋滞時には停車時間を短くするなど、車両の特性を理解した上での運用が、結果として車両の寿命を延ばし、トラブルを減らすことに繋がります。
ドゥカティは、単なる移動手段ではなく、愛情を注ぎ、その特性を理解して「育てる」ような意識で接することで、最高のパートナーとなってくれるでしょう。
ドゥカティに乗る人のイメージを検証

ドゥカティというブランドは、単なる乗り物としての機能を超え、乗り手のライフスタイルや価値観を反映するような、強い「イメージ」をまとっています。
それでは、ドゥカティに乗る人には、どのようなイメージが抱かれているのでしょうか。プロの視点からその実態を検証します。
強いステータスと憧れを持ったライダー
ドゥカティは、世界中のバイク愛好家から「憧れの的」として認識されています。その美しいデザイン、官能的なエキゾーストノート、そしてレースシーンでの圧倒的な強さは、単なる高性能バイクという枠を超え、一種のステータスシンボルとしての地位を確立しています。
ドゥカティに乗る人は、多くの場合、バイクに対する深い情熱と知識を持つ「エンスージアスト」であると見られます。
■エンスージアストとは?
エンスージアスト(enthusiast)とは、「熱狂的な支持者」といったような意味を持つ。
出典ウィキペディア
彼らは、単に速さを求めるだけでなく、バイクが持つ歴史やブランドストーリー、そして所有する喜びといった、感情的な価値を重視します。
ドゥカティのオーナーは、その高額な車両価格や維持費を受け入れ、それでもなおドゥカティを選ぶという点で、経済的な余裕と、妥協しない趣味への投資を厭わない姿勢がうかがえます。
彼らは、国産車では得られない唯一無二の体験を求め、そのために時間も労力も惜しまない、ある種の「選ばれたライダー」というイメージを抱かれています。
走りへのこだわりと深い情熱を持ったライダー
ドゥカティに乗る人は、「走り」へのこだわりが非常に強い傾向にあります。彼らは、ワインディングロードでのコーナーリング性能、サーキットでのアグレッシブな走り、そしてLツインエンジンが奏でる独特の鼓動と加速感をこよなく愛します。
ドゥカティのバイクは、そのセッティングや特性が純粋なスポーツライディングに最適化されており、それを最大限に引き出すことができるライダーこそが、ドゥカティを心から楽しめると言えるでしょう。
また、ドゥカティのオーナーは、バイクを単なる交通手段としてではなく、自己表現のツールとして、そしてライフスタイルの一部として捉えています。
彼らは、週末になるとバイク仲間とツーリングに出かけたり、愛車を丹念に磨き上げたり、カスタムパーツを吟味したりと、バイクを中心とした豊かな生活を送っています。
ドゥカティというバイクが持つ「唯一無二」の存在感が、オーナーの深いバイク愛と情熱をより一層際立たせているのです。
彼らにとって、ドゥカティは単なる機械ではなく、共に時間を過ごし、多くの感動を分かち合う「相棒」なのです!
【まとめ】二級二輪整備士のプロの目

ドゥカティというバイクが「後悔する」と言われる理由について、二級二輪整備士としての私の視点から深く掘り下げてきました。
ここまでの話をまとめると、多くの「後悔」は、ドゥカティが持つ独自の特性、つまり高性能ゆえの維持費の高さ、ピーキーな操作性、そして整備性の特殊性を十分に理解しないまま購入してしまった場合に生じる、期待と現実のギャップから来ていると言えるでしょう。
ドゥカティは決して「万人向けのバイク」ではありません。
しかし、それは決して「悪いバイク」を意味するものではありません。
むしろ、その逆です!
ドゥカティは、特定の目的、特定のライダーのために、一切の妥協なく作られた**「究極のモーターサイクル」**なのです。
現代のドゥカティは、アウディ傘下での品質管理の徹底により、過去のイメージを覆すほど信頼性が向上しています。
適切なメンテナンスを施し、その特性を理解した上で大切に乗れば、国産車にも引けを取らない信頼性で、長く素晴らしいバイクライフを共に歩むことができます。
もしあなたがドゥカティの購入を検討しているのであれば、私がプロとして強くお勧めするのは、以下の点です。
- 入念な情報収集を行うこと
維持費、メンテナンスサイクル、車両の特性などを事前にしっかり調べましょう。
- 必ず試乗すること
実際に乗ってみて、その操作性やエンジンのフィーリングが自分のライディングスタイルに合っているかを確認してください。
- 正規ディーラーとの良好な関係を築くこと
専門知識と専用工具を持つ正規ディーラーは、あなたのドゥカティライフを強力にサポートしてくれる最良のパートナーです。
ドゥカティは、確かに一筋縄ではいかない部分もあります。
しかし、その「手間」や「特性」を理解し、受け入れることができたとき、ドゥカティは他のどのバイクでも味わえないような、感動的なライディングエクスペリエンスを提供してくれます。
それは、単なる移動手段を超えた、芸術品を所有する喜び、そして五感を刺激する強烈な「走り」の体験です。
私にとってドゥカティは、整備士として腕の見せ所であり、その奥深さに常に魅了される特別な存在です。
もしあなたが、ドゥカティが持つ独自の魅力に惹かれ、その特性を愛し、最高のバイクライフを送りたいと願うのであれば、自信を持ってその扉を開いてください。
決して「後悔」することのない、唯一無二のパートナーがあなたを待っているはずです!
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二級二輪整備士:大型二輪免許取得:愛車Lead125
125cc専門の情報発信者。各車種のスペックや走行性能、燃費比較からメンテナンスまで知識ゼロから詳しくなれるよう、すべてを“教科書レベル”で徹底解説しています!
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