
ヒョースン(HYOSUNG)は、韓国で誕生したオートバイブランドです。
日本ではホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキなどの国内メーカーと比べて知名度が低く、ヒョースンという名前を聞いたことがない人もいるかもしれません。
一方で、その歴史は決して浅くありません。1978年の会社設立から半世紀近くにわたり二輪車を開発・生産し、ヨーロッパやアメリカを含む海外市場にも進出してきました。日本でも2002年から輸入販売が始まっています。
ヒョースンについて検索すると、
スズキのコピーではないか
韓国車は壊れやすいのではないか
現在もバイクを生産しているのか
といった否定的な情報が目につくことがあります。
しかし、ヒョースンとスズキの間に技術提携があったことは事実であるものの、それだけで現在のヒョースンを「スズキの模倣メーカー」と評価するのは適切ではありません。
ヒョースンは技術提携を足掛かりに独自モデルの開発へ進み、現在はボバーやロードスターなど、国産メーカーとは競合しにくい個性的なクルーザーを中心に展開しています。日本向けには125ccと250ccを中心とした「Grand Voyage」シリーズが導入されています。
本記事では、ヒョースンがどのように誕生したのか、スズキとどのような関係があったのか、経営母体がどう変化してきたのかを整理します。
現在日本で購入できるモデルや、輸入車として購入前に確認しておきたいポイントについても見ていきましょう。
■この記事でわかること
- ヒョースンとはどんなバイクメーカー?
- ヒョースンとスズキの関係とは?
- ヒョースンが歩んできた歴史
- 現在のヒョースンが力を入れるクルーザー路線
- ヒョースンのバイクが持つ魅力
- ヒョースンを購入する前に確認したいこと
- 最後に総括
ヒョースンとはどんなバイクメーカー?

ヒョースンは、韓国にルーツを持つオートバイブランドです。
過去にはネイキッド、スーパースポーツ、クルーザー、スクーターなど幅広い車種を生産していましたが、現在は「Grand Voyage」と名付けられたクルーザーシリーズがブランドの中心となっています。
日本では、神奈川県横浜市に本社を置く株式会社サクコーポレーションが「ヒョースンモーター・ジャパン」として輸入・販売を担当しています。
現在の日本向けラインナップには、125ccのGV125S BobberやGV125X Roadster、250ccのGV250S、GV250S-EVO、GV250R、GV250DRAなどがあります。
いずれも、小排気量ながら車体の存在感やデザインを重視しているのが特徴です。

ヒョースンは、日本メーカーと同じ基準で「どちらが優れているか」を競うより、国産車には少ないデザインやエンジン構成を選べることに価値があるブランドです。
韓国で1978年に誕生した二輪メーカー

ヒョースンの歴史は、1978年に韓国南東部の昌原工業地区で「Hyosung Machine Industry」が設立されたことから始まります。
翌1979年には、日本のスズキと技術提携を締結しました。
当時の韓国では、国内で二輪車産業を育成するため、日本メーカーとの技術提携によって生産技術や品質管理のノウハウを導入する動きが見られました。ヒョースンもスズキとの関係を通じて、オートバイを量産するための技術的な基盤を整えていったと考えられます。
その後、1987年には独自開発モデルの量産を開始。1988年に開催されたソウルオリンピックでは、公式オートバイを提供しています。
つまり、ヒョースンは単にスズキの車両を生産し続けた会社ではありません。
技術提携によって蓄積した知識をもとに、韓国メーカーとして自社製品を開発する段階へ移行していった会社です。
日本ではあまり知られていないが海外展開は長い
友人のヒョースンGT250R
良い所
・それっぽい見た目
・安い悪い所
・ヒョースン
・250レプリカで空冷
・回さないと前に進まないエンジン
・一生合わないカウルのチリ
・純正部品の納期が最低1ヶ月
・締めても緩むボルト
・各部から漏れるオイル
・代理店がレッ◯バロン
・ヒョースン— アキ@節約レーシング8号 (@aruarualto) October 16, 2025
日本でのヒョースンは、販売店や走行している車両を見かける機会が少なく、「最近登場した新興メーカー」という印象を持たれがちです。
しかし、海外市場への展開は1990年代から始まっています。
ヒョースンは1994年にイタリア向けの50ccモデルを輸出し、ヨーロッパ市場へ進出しました。2005年にはアメリカに現地販売会社を設立し、ヨーロッパやアジアにも販売ネットワークを広げています。
日本では2002年にヒョースンモーター・ジャパンによる輸入販売が始まり、2007年頃から125ccと250ccを中心としたラインナップが本格的に展開されました。
過去の日本市場では、
- GT250やGT250R
- GT650やGT650R
- クルーザーのGVシリーズ
- 125ccのスポーツモデル
などが販売されていました。
現在の日本での知名度だけを見ると小規模なブランドに感じますが、二輪メーカーとしての活動年数や海外販売の歴史は比較的長いといえます。
ただし、海外で販売されていることが、そのまま日本での整備性や部品供給を保証するわけではありません。購入を検討する際は、日本国内の輸入元や取扱店、部品供給体制を確認する必要があります。
現在はKRモータースが展開するブランド
ヒョースンは、設立から現在までの間に経営母体や会社名が何度か変わっています。
当初はヒョースングループの「Hyosung Machine Industry」として出発し、その後はS&Tグループの傘下となりました。2007年には会社名をS&T Motorsへ変更し、2014年には現在のKR Motorsへ社名変更しています。
したがって、現在は、
会社名がKR Motors
オートバイのブランド名がHYOSUNG
という関係で理解すると分かりやすいでしょう。
さらに2016年には、中国の二輪メーカーQingqi Motorcycleとの合弁会社「Jinan Qingqi KR Motorcycle」を設立。2017年から中国・済南市の新工場で量産を開始しています。
このため、現在のヒョースンは、
韓国で生まれたブランド
KR Motorsが事業を展開
中国の合弁工場を生産拠点とする
という複数の要素を持っています。
生産拠点が中国にあるからといって、中国メーカーへ完全に置き換わったという意味ではありません。ブランドの起源や事業会社、生産場所を分けて整理する必要があります。
日本では、ヒョースンモーター・ジャパンが車両の輸入販売に加え、取扱店に対する部品供給や技術サポートを行っています。正規ディーラーが近くにない場合も、一般のバイク販売店から輸入元へ部品供給や技術支援を依頼できると案内されています。

「ヒョースン」「KR Motors」「中国生産」という名称だけを見ると複雑ですが、ブランド、事業会社、生産拠点を分ければ理解できます。企業再編を繰り返しながらも、HYOSUNGの名称でバイクを作り続けているわけです。
ヒョースンは、日本で圧倒的な販売台数を持つメーカーではありません。
それでも、1978年から続く歴史、スズキとの技術提携、独自モデルの開発、海外市場への進出、経営再編を経て、現在も新型車を投入しています。
知名度の低さや過去の評判だけで切り捨てるのではなく、どのような歴史を経て、現在どのようなバイクを作っているのかを見ることで、ヒョースンというブランドの姿がより正確に見えてくるでしょう。
ヒョースンとスズキの関係とは?


ヒョースンの歴史を語るうえで、日本のスズキとの関係は欠かせません。
ヒョースンは会社設立の翌年にあたる1979年、スズキとの技術提携を開始しました。その後、生産技術や二輪車開発の経験を蓄積し、1987年には独自開発モデルの量産を始めています。ヒョースンの公式系資料でも、この二つの出来事は沿革上の重要な節目として記録されています。
この経緯だけを見ると、
ヒョースンはスズキの技術を使って成長した
その後、スズキから離れて独自のバイクを作り始めた
という流れになります。
しかし、技術提携を経て自社製品の開発へ進んだことと、相手企業を「裏切った」ことは同じではありません。
公開されている沿革から確認できるのは、1979年に技術提携が始まり、1987年に自社技術による量産へ進んだことです。提携の詳しい契約内容や終了時の経緯までは、一般に公開されている資料だけでは分かりません。
1979年に始まったスズキとの技術提携
ヒョースンの前身となるHyosung Machine Industryは、1978年に韓国の昌原工業地区で設立されました。
その翌年の1979年、日本のスズキと技術提携を結び、二輪車事業の基盤を築いていきます。日本の正規輸入元とKRモータース系の海外法人はいずれも、1979年の出来事を「スズキとの技術提携」として沿革に掲載しています。
当時の韓国にとって、自国でオートバイを量産するには、車両の設計だけでなく、部品の調達、製造設備の運用、品質管理、整備体制など、幅広い技術と経験が必要でした。
技術提携は、すでに二輪車を世界へ展開していたスズキの知見を取り入れながら、ヒョースンが生産体制を整えるための重要な出発点だったと考えられます。
ただし、公開されている沿革だけでは、
- 具体的にどの技術が提供されたのか
- どの車種をどのような契約で生産したのか
- 提携がいつ、どのような形で終了したのか
- 商標や設計に関する契約条件がどう定められていたのか
といった詳細までは確認できません。
したがって、「スズキがヒョースンへすべての技術を与えた」「ヒョースンがスズキの設計を無断で持ち出した」といった話を、根拠なく付け加えるのは避けるべきでしょう。
「技術提携」という言葉から、師匠と弟子のような人間関係を想像しがちです。しかし、企業間提携は契約に基づく事業です。恩義や裏切りではなく、まず確認できる契約関係として捉えましょう。
日本車の生産技術を学びながら独自モデルへ発展
なんかどっかで似たようなのみたと思ったらヒョースンだ! pic.twitter.com/lx3dKPxv8j
— ゆうち (@BikeYuti) November 17, 2015
スズキとの技術提携を始めたヒョースンは、そのまま他社ブランドの車両だけを作り続けたわけではありません。
1986年には技術研究所を設け、翌1987年には自社技術によるモデルの量産を開始したとされています。さらに1988年のソウルオリンピックでは、公式オートバイを提供しました。
1994年にはイタリア向けに50ccモデルを輸出してヨーロッパ市場へ進出し、1995年には125ccのDOHCエンジンを開発。1996年には品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001の認証を取得したと、正規輸入元の沿革に記載されています。
この流れから分かるのは、ヒョースンが、
スズキとの技術提携を出発点としながら、研究開発、生産、輸出を自社で展開するメーカーへ移行していった
ということです。
外国メーカーから技術を導入し、その経験をもとに自社製品の開発へ進むことは、ヒョースンだけに見られる特殊な成長方法ではありません。
スズキ自身も海外では、現地企業との技術提携、ライセンス生産、合弁会社の設立などを通じて事業を広げてきました。例えばスズキの公式沿革には、1985年に中国の済南軽騎と二輪車の生産技術提携契約を結び、後に現地でスズキ車の生産を開始したことが記録されています。
技術を学ぶ段階から独自開発へ進むことは、提携によって産業や市場を育てる目的とも矛盾しません。
もちろん、初期のヒョースン車にスズキ車との技術的・外観的な共通点がどの程度あったのかは、車種ごとに資料を確認する必要があります。しかし、スズキとの提携経験があることだけを理由に、その後の全モデルを「コピー車」と呼ぶのは乱暴です。
ヒョースンがスズキから多くを学んだことと、ヒョースン独自の開発を評価することは両立します。先生がいたことを認めても、生徒がその後に作ったものまで全部先生のコピーになるわけではありません。
「スズキを裏切った」という表現が適切ではない理由


ヒョースンと日本の大手バイクメーカー、スズキの間には、かつて深いつながりがありました。
ネット上では、ヒョースンとスズキの関係について、
スズキに技術を教えてもらったのに独立した
スズキの技術を利用して競合製品を作った
スズキを裏切ってコピー車を販売した
といった説明が見られることがあります。
しかし、今回確認したヒョースン側の公式系資料や正規輸入元の沿革には、両社間で技術盗用、契約違反、訴訟などが発生したという記載はありません。確認できるのは、1979年に技術提携が始まり、1987年に独自開発モデルの量産が始まったという時系列です。
もちろん、資料が見つからないことだけで、両社間に一切の意見対立がなかったと断定することもできません。
しかし、契約書、企業の公式発表、裁判記録、当時の報道などが確認できないまま、「裏切った」と評価することもできないでしょう。
そもそも「裏切り」という言葉には、
- 相手の信頼を意図的に踏みにじった
- 契約や約束に反した
- 技術や情報を不正に使用した
という強い意味が含まれます。
単に技術提携を経験した会社が、後に独自ブランドで製品を開発したというだけでは、この表現を裏付けることはできません。
ヒョースンとスズキの関係は、
ヒョースンが二輪車事業を始める初期段階で、スズキから技術協力を受けた。その後、研究開発体制を整え、独自モデルの生産へ進んだ
と整理するのが、公開情報に沿った表現です。
なぜスズキはヒョースンと合併し提携したのか?

ヒョースン/スズキと技術提携

前述の通り、スズキとヒョースンの関係は、技術提携から始まりました。
しかし、なぜスズキは、当時まだ技術力が低かった韓国の企業と、わざわざ提携し、技術供与まで行ったのでしょうか?その背景には、当時の国際情勢や企業戦略が深く関わっています。
アジア市場開拓と政府の政策が後押し
スズキがヒョースンと提携した主な理由は、当時のアジア市場、特に韓国市場への進出戦略にありました。
- 市場開拓の必要性
1970年代後半から1980年代にかけて、日本国内のバイク市場は飽和状態に近づきつつありました。そのため、日本のバイクメーカーは、新たな成長市場を求めて海外へと目を向けていました。特に、経済成長が著しかったアジア諸国は、有望な市場として注目されていました。
- 韓国政府の政策
当時の韓国政府は、自国の産業育成、特に重工業や自動車産業(バイクも含む)の発展に力を入れていました。そのため、外国企業との技術提携を積極的に推奨・支援する政策を打ち出していました。
外資系企業の直接投資を規制し、現地企業との合弁や技術提携を促すことで、国内産業の技術力向上を図ろうとしたのです。
- 生産拠点の確保
スズキにとっては、韓国という地理的にも近い国に生産拠点を確保することで、アジア市場への供給網を強化するという狙いもありました。現地生産を行うことで、輸入関税を回避し、コスト競争力を高めることができるというメリットも存在しました。
このように、スズキは単にヒョースンという企業と提携しただけでなく、当時の韓国の産業政策と自社のグローバル戦略が合致した結果として、この提携に踏み切ったと言えるでしょう。
技術供与を通じて、将来的な市場拡大への足がかりを築こうとしたのです。
ヒョースンが歩んできた歴史

ヒョースンは、1978年の設立から現在まで、同じ会社名や生産体制を維持してきたわけではありません。
スズキとの技術提携を出発点に独自開発へ進み、その後は経営母体や会社名を変更。さらに、中国企業との合弁会社を設立して生産体制を再構築しました。
こうした変化だけを切り取ると、「経営が不安定なメーカー」という印象を持つかもしれません。
しかし、二輪車市場の競争や各国の環境規制が厳しくなるなか、事業を継続するために経営と生産の体制を組み替えてきた歴史とも見ることができます。
ヒョースンの歩みを理解するには、次の3つの段階に分けると分かりやすいでしょう。
スズキとの技術提携から独自開発へ進んだ時代
S&Tモータースを経てKRモータースとなった時代
中国企業との合弁によって生産体制を再構築した時代
独自モデルの量産とソウルオリンピックへの車両提供
ヒョースンは1979年にスズキとの技術提携を始めた後、独自の研究開発体制を整えていきました。
1986年には技術研究所を設立し、1987年には自社技術によるモデルの量産を開始したとされています。翌1988年には、韓国で開催されたソウルオリンピックへ公式オートバイを提供しました。海外法人の沿革では、1986年のアジア競技大会と1988年のソウルオリンピックの公式車両供給者に選ばれたことも記載されています。
ソウルオリンピックは、韓国が自国の産業や技術力を世界へ示す大きな機会でもありました。
その国際大会でヒョースンの車両が採用されたことは、韓国国内で二輪メーカーとして一定の生産能力を持つまでに成長していたことを示す出来事といえるでしょう。
ただし、「自社技術による量産を開始した」という表現は、それ以前に導入したスズキの技術や生産ノウハウが突然なくなったことを意味しません。
他社から学んだ技術を基礎にしながら、研究開発部門を持ち、自社で製品を設計・量産する段階へ移行したと理解するのが自然です。
ヒョースンはその後も生産と海外展開を進め、1990年には第二工場を完成。1994年にはイタリア向けの50ccモデルを輸出してヨーロッパ市場へ進出し、1995年には125ccのDOHCエンジンを開発したとしています。1996年にはISO 9001の認証を取得しました。
この時期のヒョースンは、韓国内向けの二輪メーカーから、海外市場でも製品を販売するメーカーへと活動範囲を広げていったことになります。
S&TモータースからKRモータースへの変化

ヒョースンの二輪事業は、その後、企業グループの再編によって経営母体と会社名が変わっていきます。
2007年3月、会社はS&Tグループの傘下に入り、社名を「S&T Motors Co., Ltd.」へ変更しました。KRモータースの公表資料にも、2007年3月28日付で旧社名からS&Tモータースへ変更した経緯が記載されています。
S&Tモータース時代には、日本でもGT250RやGV125C、RX125SMなどが販売されました。また、海外販売網を活用した輸出や、電動スクーターの開発にも取り組んでいます。2010年には、独自開発した電動二輪車をソウル市へ供給したことも発表しています。
そして2014年3月、S&TモータースはKOLAOグループの系列会社となり、社名を「KR Motors Co., Ltd.」へ変更しました。S&T側の沿革にも同月にS&Tモータースを売却したことが記録され、KRモータースの企業開示資料にも、KOLAOグループへの編入と社名変更が記載されています。
ここで少し分かりにくいのが、「KR Motors」と「HYOSUNG」の関係です。
基本的には、
KR Motorsは会社名
HYOSUNGは海外市場などで使用されるバイクブランド名
と理解するとよいでしょう。
会社名がS&TモータースからKRモータースへ変わっても、HYOSUNGというブランドまで消滅したわけではありません。KRモータースは、その後も香港やヨーロッパなどでHYOSUNGブランドの展開を進めています。
なお、企業の経営母体が変わったことだけを理由に、「ヒョースンが一度倒産した」「ブランドが消滅した」と判断するのは適切ではありません。
会社の売却、系列変更、社名変更と、破産や事業廃止は別の出来事です。

S&TモータースとKRモータースは、まったく無関係な会社が突然ヒョースンの名前を使い始めたわけではありません。経営母体と。経営母体と社名を変えながら、二輪事業とHYOSUNGブランドが引き継がれてきたと見るのが分かりやすいでしょう。
中国企業との合弁で生産体制を再構築
KRモータースへの社名変更後、ヒョースンの生産体制はさらに大きく変化します。
KRモータースは2016年、中国の二輪メーカーであるQingqi Motorcycleと合弁会社の設立契約を締結し、「Jinan Qingqi KR Motorcycle Co., Ltd.」を設arch1
KRモータースの発表によると、両社は中国・山東省済南市のハイテク産業開発区に、二輪車工場、研究開発センター、エンジン工場を建設する計画を進めました。当時の発表では、年間30万台規模の生産能力を想定し、2017年から本格稼働する予定とされarch1
日本の正規輸入元も、2017年に済南市の新工場で量産を開始したと説明arch0
Qingqiは、中国で長く二輪車を生産してきたメーカーです。現在の日本向け輸入元は、HYOSUNGとQINGQIの合弁体制によって両ブランドを世界市場へ展開していると案内arch3
この生産移転については、
韓国メーカーなのに中国で作っている
中国企業へ技術やブランドを売却した
以前のヒョースンとは関係がない
と受け取られることがあります。
しかし、公開情報から確認できるのは、KRモータースとQingqiが共同出資による合弁会社を設立し、生産や研究開発の体制を中国で再構築したということです。
ブランドそのものをQingqiへ完全売却したことや、KRモータースがヒョースン事業から撤退したことを示すものではありません。
中国へ生産拠点を移した背景には、大規模な生産設備の確保、部品調達、生産コスト、海外市場への供給など、複数の経営上の目的があったと考えられます。ただし、詳しい判断理由について、公開資料だけで断定することはできません。
また、生産国だけで車両の品質を一律に判断することも困難です。
現在では日本メーカーや欧米メーカーも、タイ、インドネシア、インド、中国など、さまざまな国で二輪車や部品を生産しています。重要なのは国名だけではなく、設計、部品、製造工程、品質管理、輸入後の検査や整備体制を含めて確認することです。
今後の展望

ヒョースンは、設立当初から一直線に成長してきたメーカーではありません。
技術提携による事業基盤の構築、独自開発への移行、企業グループの変更、社名変更、そして中国企業との合弁による生産体制の再構築を経験しています。
こうした変化を「迷走」とだけ評価することもできますが、見方を変えれば、厳しい二輪市場のなかでHYOSUNGブランドを残し、新しい製品を送り出すために形を変え続けてきた歴史でもあります。
現在のヒョースンを評価する際は、過去のGTシリーズだけでなく、この新しい生産体制から登場したGVシリーズなど、今の製品そのものを見る必要があるでしょう。
現在のヒョースンが力を入れるクルーザー路線

かつてのヒョースンは、GT250Rなどのフルカウルスポーツ、GTシリーズのネイキッド、オフロードモデル、スクーターなど、幅広いカテゴリーのバイクを展開していました。
しかし、現在の日本向けラインナップを見ると、その方向性は大きく変わっています。
ヒョースンモーター・ジャパンが展開しているモデルは、GV125X、GV125S、GV250S、GV250S-EVO、GV250R、GV250DRAなど、すべて「GV」の名を持つクルーザー系モデルです。新たに250ccのGV250Xも発表されており、現在のヒョースンがGrand Voyageシリーズをブランドの中心に据えていることが分かります。
ヒョースンは、日本メーカーと同じようなネイキッドやスーパースポーツを幅広くそろえるのではなく、
小排気量でも存在感のある車体
Vツインエンジン
ボバーやロードスターなどの個性的なデザイン
を組み合わせることで、独自の立ち位置を築こうとしています。
特に125ccクラスでは、本格的なクルーザースタイルとVツインエンジンを組み合わせた車種は珍しく、国産メーカーとは競合しにくい選択肢となっています。

現在のヒョースンを、昔のGT250Rだけで評価するのは少し古い見方です。いまは「韓国のスポーツバイクメーカー」というより、小排気量Vツインクルーザーに個性を集中させたブランドと見るほうが実態に近いでしょう。
ブランドの中心となったGrand Voyageシリーズ

現在のヒョースンを代表するのが、車名に「GV」を冠したGrand Voyageシリーズです。
日本の正規輸入元は、Grand Voyage GVについて「雄大なるクルーザー」をキーコンセプトに、ヒョースンの中核モデルとして成長してきたシリーズと説明しています。現在の公式サイトも、Grand Voyageを前面に掲げ、ボバー、ロードスター、スポーツクルーザーなどの派生モデルを展開しています。
「Grand Voyage」という名称には、直訳すると「壮大な旅」や「大いなる航海」といった意味があります。
単に速さや最高出力を競うのではなく、ゆったりと走るクルーザーらしさ、長距離を走りたくなる存在感、バイクを所有する楽しさを重視したシリーズ名といえるでしょう。
Grand Voyageシリーズの大きな特徴は、複数のモデルでVツインエンジンを採用していることです。
例えばGV125Sには、124.7ccの水冷60度V型2気筒エンジンが搭載されています。125ccクラスでは単気筒エンジンが主流となるなか、エンジンの造形や鼓動感まで含めてクルーザーらしさを演出している点は、ヒョースンならではの特徴です。
また、Grand Voyageは一つの車種名ではありません。
同じ基本思想を持ちながら、
- 伝統的で重厚なボバー
- 都会的なロードスター
- 走行性能も意識したスポーツクルーザー
- 装備を充実させた上級モデル
へと展開されています。
ボバー・ロードスター・スポーツクルーザーを展開
水冷V型2気筒エンジンの原付二種、新型登場!! ヒョースン「GV125Xロードスター」7月上旬発売へhttps://t.co/upt3FLTvjN
ヒョースンモーター・ジャパンは、原付二種クラスの新型クルーザーモデル「GV125X… pic.twitter.com/ElPN7v5B8u
— モトスポ@バイク総合情報 (@motospo_) June 17, 2025
Grand Voyageシリーズは、すべてクルーザーを基礎としていますが、モデルごとにデザインや性格が異なります。
まず中心的な存在となるのが、GV125SとGV250Sです。
両車は「Bobber」の名称を持ち、低い車高、太いタイヤ、ブラックを基調とした車体、Vツインエンジンの存在感を特徴としています。正規輸入元はGV125Sを、125ccクラスの枠を超えたフルサイズクルーザーと位置付けています。
ボバーとは、もともと余分な外装を取り外し、フェンダーを短くするなどして簡潔な外観へ仕上げたカスタムスタイルです。
GV125SとGV250Sは、そのボバースタイルを市販車としてまとめています。クラシックなアメリカンクルーザーとは少し異なり、黒を基調とした現代的で引き締まったデザインが特徴です。
これに対して、GV125XとGV250Xは「Roadster」と呼ばれています。
GV125Xは、重厚なクルーザーの車体に、都会的なデザインとスポーティーな走りを組み合わせたモデルです。正規輸入元も「アーバンスタイルクルーザー」と表現しており、GV125Sよりも現代的で軽快な方向を狙った車種といえます。
250ccクラスには、さらに個性の異なるモデルが用意されています。
GV250S-EVOは、ボバースタイルのGV250Sを基礎に、LED灯火類、フルLCDメーター、倒立フロントフォークなどを採用した上級仕様です。メーカーは、装備と走行イメージを強化した「ネオレトロボバー」と位置付けています。
GV250Rは、低く構えた車体にカウルを組み合わせた、スポーティーな外観のモデルです。
そしてGV250DRAは、レトロ調のデザインと軽快な走行性能を組み合わせた「Sport Cruiser」として展開されています。気軽なクルージングだけでなく、都市部での走行やスポーティーな乗り方も意識したモデルです。
つまり、現在のヒョースンはクルーザーだけを一種類販売しているのではなく、
ボバーのGV-S系
都会的なロードスターのGV-X系
上級仕様のGV250S-EVO
スポーティーなGV250R・GV250DRA
という形で、クルーザーという軸のなかに複数の選択肢を用意しています。
「クルーザーはどれも同じような形」と思われがちですが、現在のヒョースンはボバー、ロードスター、スポーツクルーザーを明確に作り分けています。好きな服の系統を選ぶように、スタイルから車種を選べるラインナップです。
125ccと250ccに個性的なモデルをそろえる

現在の日本向けラインナップは、125ccと250ccが中心です。
125ccクラスには、主に次の2台があります。
GV125S Bobberは、低く長いボバースタイルと、水冷60度Vツインエンジンを組み合わせたモデルです。車両重量は165kg、シート高は710mmで、125ccながら一般的な原付二種よりも大柄な車体を持っています。
GV125X Roadsterは、GV125Sとは異なる都会的なデザインを採用したアーバンスタイルクルーザーです。Vツインの個性や重厚感を残しつつ、より現代的でスポーティーな外観に仕上げられています。
250ccクラスには、より幅広いモデルがそろいます。
- GV250S Bobber
- GV250S-EVO Supreme
- GV250R Avant-garde
- GV250DRA Sport Cruiser
- 新たに発表されたGV250X Roadster
日本向け公式サイトでは、これらをGrand Voyageシリーズとして紹介しています。なお、ラインナップや価格、販売状況は変更される場合があるため、購入時には正規輸入元または販売店で最新情報を確認する必要があります。
このラインナップが興味深いのは、国産メーカーが縮小している小排気量クルーザーの市場へ、ヒョースンが積極的にモデルを投入している点です。
現在の国内125cc市場では、スクーター、ビジネスバイク、ネイキッド、レジャーバイクなどは充実していますが、Vツインエンジンを搭載した本格的なクルーザーは極めて限られています。
250ccクラスでも単気筒や並列2気筒が主流であり、Vツインの外観と鼓動感を求める人にとって、Grand Voyageシリーズは珍しい選択肢です。
ただし、大柄な車体は存在感につながる一方、車重や取り回しにも影響します。
特にGV125Sは125ccとしては重量があるため、「原付二種だから軽くて扱いやすいだろう」と決めつけず、足つきや押し引きを実車で確認することが重要です。

ヒョースンの強みは、万人向けの無難な一台ではありません。「125ccでもVツインがいい」「人と同じ車種を避けたい」「小排気量でも堂々としたクルーザーに乗りたい」という人へ、はっきりした答えを用意していることです。
現在のヒョースンは、日本メーカーのラインナップをそのまま追いかけているわけではありません。
Grand Voyageシリーズへ軸足を移し、125ccと250ccという比較的乗りやすい排気量に、Vツインエンジン、フルサイズに近い車体、ボバーやロードスターなどの個性的なスタイルを組み合わせています。
かつてのGTシリーズを知る人には、大きな方向転換に見えるでしょう。
しかし、競争の激しいスーパースポーツや一般的なネイキッドではなく、国産メーカーの選択肢が少ない小排気量クルーザーへ集中したことは、現在のヒョースンが生き残るための明確なブランド戦略とも考えられます。
ヒョースンのバイクが持つ魅力

バイクを選ぶ基準は、性能や価格だけではありません。
デザイン、エンジン形式、ライディングポジション、ブランドの知名度、街中で同じ車種を見かける頻度など、ライダーが魅力を感じるポイントは人によって異なります。
現在のヒョースンは、販売台数や車種の豊富さで日本メーカーと正面から競うのではなく、Grand Voyageシリーズを中心に、
小排気量でも堂々としたクルーザーに乗りたい
Vツインエンジンの造形やフィーリングを楽しみたい
定番車種とは違うバイクを選びたい
という需要に応えるブランドとなっています。
ヒョースンモーター・ジャパンの現行ラインナップには、ボバースタイルのGV125S・GV250S、都会的なGV125X・GV250X、モダンクルーザーのGV250R、スポーツクルーザーのGV250DRAなどが掲載されています。クルーザーという共通軸を持ちながら、モデルごとに外観や性格を作り分けている点が特徴です。

ヒョースンの魅力は、「国産車より優れている」と無理に主張することではありません。国産メーカーとは違う方向を向き、ほかでは選びにくいバイクを用意していることにあります。
日本メーカーと競合しにくい個性的なデザイン
ヒョースンで峠走って、お高いバイクを抜きたい。
— かにたん💯 (@NinjaH2_kani) December 14, 2017
現在のヒョースン車で、まず目を引くのがデザインです。
125ccのGV125Sは、低く長い車体、短く切り詰められたフェンダー、太い前後タイヤ、ブラックを基調とした外装を組み合わせたボバースタイルを採用しています。
正規輸入元はGV125Sを「125クラスの枠を超えたフルサイズクルーザー」と位置付けています。全長は2,080mm、車両重量は165kgあり、一般的な小型バイクとは明らかに異なる存在感を持ったモデルです。
一方、GV125Xは、同じ125ccのVツインエンジンを使いながら、現代的なアーバンスタイルへ仕上げられています。
ロー&ロングのクルーザーフォルムに、エッジの効いた外装、左右出しマフラー、バーエンドミラーなどを組み合わせ、メーカー自身も「アーバンスタイルクルーザー」と表現しています。
250ccのGV250Rになると、さらに未来的な方向へ進みます。
鋭いボディーパーツ、ウインドスクリーン、倒立フロントフォーク、モノショック、切削加工ホイールなどを採用し、クラシックなアメリカンというより、独自のモダンクルーザーへ仕上げられています。
これらの車種は、日本メーカーのデザインをそのまま追いかけたものではありません。
- 重厚なボバー
- 都会的なロードスター
- 未来的なモダンクルーザー
- 実用性を意識したスポーツクルーザー
という形で、ヒョースン独自のクルーザー像を打ち出しています。
もちろん、デザインの評価は好みによって分かれます。
GV125Sの大柄な車体を「迫力がある」と感じる人もいれば、「125ccにしては重い」と感じる人もいるでしょう。GV250Rの先鋭的な外観も、伝統的なクルーザーを求める人には合わない可能性があります。
しかし、好みが分かれるほど明確な個性を持っていること自体が、ヒョースンの強みです。
誰からも嫌われない無難なデザインは、誰かに強烈に刺さるデザインにもなりにくいものです。ヒョースンは、好きな人にはしっかり刺さる外観を選んでいます。
小排気量でもVツインを採用する独自性

ヒョースンの大きな特徴となっているのが、125ccや250ccでもVツインエンジンを採用していることです。
GV125Sには、124.7ccの水冷60度V型2気筒エンジンが搭載されています。
バルブ方式はSOHCで、1気筒あたり吸気2・排気1の3バルブを採用。V型に並んだ二つのシリンダーはエンジン形式としての役割だけでなく、クルーザーらしい車体デザインを構成する重要な要素にもなっています。
GV125Xも同じ124.7cc水冷Vツインを基礎としていますが、専用チューニングが施され、6速トランスミッションを採用しています。エンジンにはヒョースンの「H」をあしらった専用カバーが設けられ、左右出しマフラーを含めて機械そのものを見せるデザインとなっています。
250ccモデルにも、水冷60度Vツインエンジンが採用されています。
GV250Sの排気量は248.4cc。正規輸入元は、低回転からのトルクとVツイン特有のフィーリングや排気音を特徴として案内しています。
Vツインだから、直ちに単気筒や並列2気筒より速い、優れているということではありません。
気筒数が増えれば構造は複雑になり、部品点数、車両重量、整備性、製造コストにも影響します。実際、GV125Sは原付二種としては軽量な車種ではありません。
それでも、Vツインには次のような魅力があります。
- V型に配置されたシリンダーの造形
- クルーザーらしいエンジンの存在感
- 2気筒ならではの回転感覚
- 単気筒車とは異なる排気音
- 排気量以上に本格的に見える車体構成
特にクルーザーでは、エンジンは単なる動力源ではなく、バイク全体の外観を決める重要なパーツです。
ヒョースンは125ccだからといって簡素なエンジンへ割り切らず、Vツインを車体の中央へ見せることで、Grand Voyageシリーズの個性を作っています。
125ccにVツインが必要かと聞かれれば、移動するだけなら必須ではありません。しかし、バイクは必要性だけで選ぶ乗り物でもありません。「このエンジンの形が好き」という理由は、立派な購入動機です。
人と同じバイクを避けたいライダーに向いている
ヒョースンのLINEオープンチャットを作ってみようと思うのですが
ヒョースン乗りの皆さんどう思います?
総合コミュって多分mixiぐらいしかないと思いますが、現状うまく機能していないかなと思ってます。
情報共有やゆくゆくはツーリング企画など
嫌韓、荒らしが沸いちゃうかなぁ…?#ヒョースン— さくらんぼ雨零 🦍🍆🍌🐷☃️😼🐮🐏 (@saku_VRX398cm3) October 6, 2022
バイク選びでは、販売台数が多いことが安心材料になります。
オーナーから情報を集めやすく、カスタムパーツも見つけやすく、中古車の流通量や整備実績も豊富になるためです。
その一方で、
駐輪場に同じ車種が何台も並ぶ
ツーリング先で頻繁に同型車と出会う
人気車だから選んだと思われる
ことを、少し物足りなく感じるライダーもいます。
ヒョースンは、日本では決して頻繁に見かけるブランドではありません。正規輸入元は販売拡大に向けてディーラーやパートナーショップを募集している段階であり、国内の販売網も日本メーカーほど大きくありません。
これは整備や購入環境という面では、事前に確認すべき注意点になります。
しかし、希少性や個性を重視する人にとっては、
街中で同じ車種と被りにくい
駐車すると「これは何というバイクですか」と聞かれやすい
排気量だけでは分からない車格がある
ブランド名ではなく車両そのものを見て選べる
という魅力にもなります。
特にGV125Sは、ナンバープレートを見なければ125ccとは気付きにくいほど大柄なスタイルです。
GV125Xも、一般的な原付二種とは異なる車体構成や左右出しマフラーを採用しており、「125ccらしい手軽さは欲しいが、見た目まで小型車らしくしたくない」という人に合う可能性があります。
ただし、珍しいバイクを選ぶことには、良い面と注意点の両方があります。
SNSや動画で得られる日本語情報は定番車種より少なく、専用アクセサリーの選択肢も限られる可能性があります。売却時の相場も、日本の人気車種ほど読みやすくはありません。
そのため、ヒョースンが向いているのは、
知名度やリセールバリューを最優先する人
というより、
実車のデザインに惚れ、多少の不便も含めて珍しいバイクとの付き合いを楽しめる人
でしょう。

「人と被らない」には、「情報や販売店も少ない」という裏側があります。それでも、人気ランキングではなく自分の感性で選んだ一台には、定番車とは違う愛着が生まれるはずです。
ヒョースンのバイクは、すべてのライダーへ無条件におすすめできる万能な存在ではありません。
販売網の広さ、整備情報、車両重量、価格、リセールバリューなどを重視すれば、日本メーカーの人気モデルが有利になる場面もあります。
しかし、
個性的なクルーザーが欲しい
小排気量でもVツインに乗りたい
ほかの人と違う一台を選びたい
ブランドの知名度よりデザインを重視したい
という人にとって、現在のヒョースンは検討する価値のあるメーカーです。
ヒョースンを購入する前に確認したいこと

ヒョースンのバイクには、個性的なデザインや小排気量Vツインなど、日本メーカーでは選びにくい魅力があります。
一方、日本国内の販売店数や整備実績は、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと同じ規模ではありません。
そのため、車両のデザインや価格だけを見て購入を決めるのではなく、
- どこで購入できるか
- 点検や修理をどこへ依頼するか
- 純正部品をどのように取り寄せるか
- 故障時にどの程度の期間を見込むか
まで確認しておくことが大切です。
ヒョースンモーター・ジャパンは、正規ディーラーとパートナーショップを全国で募集・拡大しており、取扱店以外の一般的なバイク販売店に対しても、部品供給や技術サポートを行うと案内しています。したがって、正規ディーラーが近くにないことだけで、直ちに購入や整備が不可能になるわけではありません。
ただし、すべてのバイク店が輸入車の整備を受け入れているわけではありません。
「輸入元からサポートを受けられる仕組みがあること」と、「近所の店が自分の車両を実際に整備してくれること」は別の問題です。

ヒョースンを購入する際は、「故障したら考える」ではなく、購入前に整備先まで決めておきましょう。バイク本体だけでなく、維持できる環境も含めて選ぶことが重要です。
近隣に販売店や整備対応店があるか
代車がバロンお馴染みのヒョースン
これまで、ネイキッド(みたいな何か)、アメリカン(みたいな何か)、ビッグスクーター(みたいな何か)と、ヒョースンの代車を乗り継いできたが、この初のシングルスポーツ(みたいな何か)ははたして… pic.twitter.com/xUxavvAEpW— あずらいる教官🎤👑🏴☠☃️🎧🔧 (@Azuraile_Eagle) August 7, 2016
最初に確認したいのは、自宅や職場から通える範囲に、ヒョースンを扱う販売店があるかどうかです。
正規輸入元の公式サイトには、ヒョースン・ディーラーとパートナーショップの一覧が掲載されています。店舗によっては展示車や試乗車を用意していますが、すべての車種を常時展示しているとは限りません。来店前に、希望するモデルの在庫や展示状況を問い合わせたほうがよいでしょう。
確認するのは、車両を購入できるかだけではありません。
次のような点も聞いておきましょう。
- 定期点検やオイル交換を依頼できるか
- タイヤやブレーキパッドの交換に対応しているか
- 電装系やエンジンの修理を受け付けているか
- 純正部品を取り寄せてもらえるか
- 保証修理の窓口になってもらえるか
- 車両を引き取りに来てもらえるか
- 代車を利用できるか
購入店が遠方の場合、納車までは問題がなくても、その後の点検や故障時の移動が負担になることがあります。
例えば、片道数時間かかる店舗で購入した場合、車両が自走できない故障では、レッカー費用や運搬方法も考える必要があります。
ヒョースンモーター・ジャパンは、近隣に正規店がない場合、最寄りの一般的なバイク販売店へ相談し、その販売店から依頼を受ければ部品供給と技術サポートを行うと説明しています。
しかし、一般店が必ず作業を受け入れるという意味ではありません。
輸入車は、車種固有の整備情報、診断方法、専用工具、部品手配などが国産車と異なる場合があります。店舗側が経験や設備の面から断る可能性もあるため、
「ヒョースンモーター・ジャパンから部品と技術情報を受けられるそうですが、この車両の点検や修理をお願いできますか」
と、購入前に具体的に相談しておくと安心です。
車両を売ってくれる店と、長く面倒を見てくれる店は必ずしも同じではありません。「買えるか」だけでなく「維持を任せられるか」まで確認しましょう。
消耗品や補修部品の取り寄せ方法
輸入車を購入する際、多くの人が心配するのが部品供給です。
ヒョースンモーター・ジャパンによると、消耗品をはじめ需要の多い主要部品は日本国内の倉庫に常時在庫し、在庫があるものは通常1~2営業日で出荷しています。国内在庫がない部品については、本国メーカーから月2回の出荷があり、メーカー欠品を除く標準納期は約2~3週間とされています。大型部品は船便となり、1~2か月かかる場合があります。
この案内を見る限り、
ヒョースンの部品は日本では一切入手できない
故障したら海外から個人輸入するしかない
という状態ではありません。
正規ディーラーや取扱店だけでなく、一般のバイク販売店からも純正部品を注文でき、輸入元が技術サポートを提供する仕組みがあります。
また、一部の純正消耗品やアクセサリーは、WebikeやAmazonで取り扱われています。日常的なメンテナンスに使う一部の部品については、車台番号と必要な部品名を伝えることで、ユーザーが輸入元へ注文できる場合もあります。
ただし、「部品供給がある」ことと、「あらゆる部品がすぐ手に入る」ことは同じではありません。
例えば、
- 外装部品
- 燃料タンク
- ホイール
- フレーム関連部品
- エンジン内部部品
- 専用電装部品
- 過去に販売終了したモデルの部品
などは、国内在庫がなく、メーカーからの取り寄せになる可能性があります。
事故や転倒で大型外装を損傷した場合、車両が走行できる状態でも、完全な修復まで時間がかかることがあります。
中古のヒョースンを購入する場合は、現行のGrand Voyageシリーズと、すでに販売を終了したGT・RX・EXIVシリーズとで、部品供給状況が異なる可能性にも注意が必要です。
購入前には、販売店へ車台番号や年式を伝え、
このモデルの消耗品は国内にあるか
外装や電装部品も取り寄せられるか
メーカー欠品時には代替部品があるか
を確認しておくとよいでしょう。
なお、正規輸入元はパーツリストやサービスマニュアルを一般ユーザー向けには販売せず、販売店向けの技術資料として提供しています。自分で大規模な整備を行うことを前提にするより、輸入元と連携できる店舗を確保するほうが現実的です。
部品が翌日に届かないことを、直ちに「部品がない」と考える必要はありません。ただし、取り寄せに数週間かかる可能性はあるため、通勤などで毎日使う人は代替の移動手段も考えておきましょう。
国産車とは異なる輸入車としての付き合い方
ヒョースン乗りの皆様この度、オープンチャットを設立しました!
見られた方 是非ご参加ください❗オープンチャット「ヒョースン乗りの皆様集まれ!」https://t.co/lB0eQBSusc#GT250 #GT250R #GT125 #GV250 #GV125 #RT125 #MS3 #RX125 https://t.co/JoSrwMNHzY pic.twitter.com/xadeymeWWv
— さくらんぼ雨零 🦍🍆🍌🐷☃️😼🐮🐏 (@saku_VRX398cm3) October 10, 2022
ヒョースンは韓国で誕生し、現在は中国企業との合弁体制で開発・生産され、日本ではサクコーポレーションが正規輸入元を務める輸入車です。
輸入車だから必ず壊れやすい、ということではありません。
一方で、国内メーカーの人気車種と比べると、
- 販売店や整備経験のある店舗が少ない
- 日本語による個人の整備情報が少ない
- 社外カスタムパーツの選択肢が限られる
- 部品によっては海外取り寄せになる
- 中古車の流通量や買取事例が少ない
といった違いがあります。
こうした違いをすべて欠点として捉えるか、珍しいバイクを所有するうえでの特徴として受け入れられるかは、ライダーによって異なります。
特に確認しておきたいのが、日常的なメンテナンスです。
エンジンオイル、オイルフィルター、エアクリーナー、スパークプラグ、ブレーキパッド、タイヤ、チェーンなどは定期的に交換が必要です。
国産車と共通規格の消耗品を使える部分もありますが、すべての部品が他車種用で代用できるとは限りません。インターネット上の情報だけを頼りに流用せず、販売店や輸入元へ適合を確認する必要があります。
また、新車購入時には、
- 保証期間
- 保証の対象となる故障
- 定期点検を受ける条件
- 消耗品と保証部品の区分
- カスタムした場合の保証への影響
- 転居した場合の整備引継ぎ
- ロードサービスの有無
について、保証書や販売店の説明を確認しておきましょう。
中古車の場合は、正規輸入車なのか並行輸入車なのかも重要です。
正規輸入元のサポート対象や、国内仕様との部品の違いが生じる可能性があるため、車台番号、輸入経路、過去の整備記録を販売店へ確認したほうが安心です。
ヒョースンモーター・ジャパンは、車台番号による製造年式の確認方法や、取扱説明書データの提供についても案内しています。中古車で説明書や年式が分からない場合は、輸入元へ照会できる可能性があります。
輸入車と付き合う際は、故障してから慌てて店を探すより、
購入店と継続的に連絡を取る
指定された時期に点検を受ける
消耗品を早めに注文する
異音や不調を放置しない
部品納期に余裕を持つ
という姿勢が向いています。

ヒョースンを選ぶなら、国産人気車とまったく同じ利便性を求めるより、信頼できる店と相談しながら維持する輸入車として考えたほうがよいでしょう。その手間まで楽しめる人には、長く付き合える個性的な一台になります。
ヒョースンを購入するうえで重要なのは、「韓国車だから不安」と漠然と考えることでも、「正規輸入されているから何も問題ない」と楽観することでもありません。
販売店、整備先、部品供給、保証条件を具体的に確認したうえで、自分の用途や生活環境に合うかを判断することです。
近くに整備を任せられる店がある。
消耗品や故障部品の注文方法が分かっている。
部品待ちの可能性を含めて輸入車との生活を楽しめる。
この条件がそろうなら、ヒョースンは「避けるべき謎の韓国車」ではなく、国産車にはない個性を楽しめる現実的な選択肢になります。
最後に総括

ヒョースンは、1978年に韓国で誕生したオートバイブランドです。
1979年にスズキとの技術提携を始め、その経験を基礎として研究開発体制を整え、1987年には独自モデルの量産を開始しました。その後は海外市場への進出、経営母体や社名の変更、中国企業との合弁による生産体制の再構築を経ながら、現在までHYOSUNGブランドを継続しています。
スズキとの技術提携は、ヒョースンの発展を語るうえで欠かせない重要な歴史です。
しかし、公開されている沿革から確認できるのは、スズキから技術協力を受け、その後に自社開発へ進んだという流れです。技術盗用や契約違反を裏付ける資料もなく、独自モデルを生産したことだけを理由に「スズキを裏切った」と評価するのは適切ではありません。
外国メーカーから技術を学び、やがて自社製品を開発するようになることは、製造業の成長過程として不自然なものではないでしょう。
現在のヒョースンは、かつてのGTシリーズを中心としたスポーツバイク路線から方向を変え、Grand Voyageシリーズをブランドの中核に据えています。
ボバー、ロードスター、モダンクルーザーなど、同じクルーザー系でも異なる個性を持ったモデルを展開し、125ccや250ccの小排気量クラスに本格的な車格とVツインエンジンを組み合わせている点が特徴です。

ヒョースンは、日本メーカーと同じ車種を少し安く販売するだけのブランドではありません。国産メーカーが手薄になっている小排気量クルーザーへ、Vツインと大胆なデザインを投入しているところに現在の個性があります。
もちろん、珍しい輸入車である以上、購入前の確認は必要です。
日本メーカーと比べると、販売店や整備経験のある店舗は限られます。部品によっては海外からの取り寄せとなり、修理完了まで時間がかかる可能性もあります。
一方、正規輸入元は販売店への車両・部品供給やアフターサービスを行い、正規店が近くにない場合には、一般のバイク販売店からの依頼に対しても部品供給や技術支援を行うと案内しています。
したがって、ヒョースンを選ぶ際は、
- 近隣に点検や修理を任せられる店舗があるか
- 消耗品や補修部品をどのように注文するか
- 保証修理の窓口はどこになるか
- 部品待ちの期間を許容できるか
を購入前に確認しておくことが重要です。
こうした準備ができていれば、ヒョースンは正体不明のバイクでも、避けるべき危険なメーカーでもありません。
小排気量でもVツインに乗りたい
国産車にはないデザインを楽しみたい
街中でほかのライダーと被りにくい一台を選びたい
そのような人にとって、ヒョースンは十分に検討する価値のあるブランドです。
知名度や販売台数だけで判断するのではなく、実車を確認し、整備環境や部品供給も含めて、自分のバイクライフに合うかを考えるのがよいでしょう。
ヒョースンの魅力は、すべてのライダーに選ばれることではありません。
日本では少数派でありながら、独自のデザインとVツインクルーザーを作り続け、「人と違うバイクに乗りたい」というライダーへ明確な選択肢を示していることにあります。
ヒョースンの歴史は、低価格戦略と品質管理のバランス、そして企業間の信頼関係の重要性を示唆しています。
バイク選びは、価格だけでなく、メーカーの信頼性、アフターサービス、そして将来的な維持コストも総合的に考慮することが、後悔しない選択をする上で極めて重要であると改めて感じさせられます。
もし、ヒョースンのバイクに興味を持ったとしても、この記事で述べたようなリスクを十分に理解し、慎重な判断をすることを強くお勧めします。
ライダーにとって、安全で楽しいバイクライフを送ることが何よりも大切だからです!
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125ccTV編集長のまっちゃんです。
125ccTVは、株式会社リーガルプラザ コンテンツ事業部が運営する原付二種・125ccバイク専門メディアです。125ccバイクの選び方から車種比較、カスタム、メンテナンス、用品、ツーリング、免許取得といった原付二種に関する様々な情報を初心者目線で発信していきます。
これから125ccに乗りたい人も、原付二種に興味がある人も、街乗りやツーリングをもっと楽しみたい人も、125ccの“ちょうどいい自由”を一緒に探してみませんか。
ちなみに、「3meals < BIKE」と書いて「3度の飯よりバイクが好き」と読みます。3度の飯よりバイクが好きなあなたのためのサイト作りを目指しております。

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