
ハンターカブには一般的な原付二種スクーターや、普通のスーパーカブとは異なる独特の「クセ」が存在する。
このクセを理解せずに乗ると、思わぬ転倒や恐怖体験に繋がる可能性があるため、「危ない」という検索キーワードが立つこと自体は間違いではない。
しかし、それは決して「欠陥」ではなく、このバイクが持つオフロード性能やタフさを実現するための「特徴」なのです。
このコンテンツでは、なぜハンターカブに「危ない」と言う検索キーワードがあるのか?、そして、そのリスクを初心者がどのようにカバーすれば安全に乗ることができるのか?、プロの二級二輪整備士である私が具体的な解決策を伝授します。
■この記事でわかること
- なぜハンターカブに「危ない」の検索ワードがあるのか?
- 【結論】ビギナー向けではない?対策すれば最高の愛車?
- 「危ない」を「安全」に!初心者がやるべき3つの対策
- 実際に「ヒヤッとした・・」瞬間と回避術
- 最後に統括
なぜハンターカブに「危ない」の検索ワードがあるのか?


まず、真相に迫ります。ハンターカブのベテランライダーたちが口にする「ハンターカブは気をつけて乗れ!」という言葉の裏には、主に3つの物理的な要因が隠されています。これらは精神論ではなく、車体構造上の理由です。
理由1:カブシリーズ最悪?足つきの悪さ?
ハンターカブが初心者にとって「危ない」と感じられる最大の要因は、圧倒的な足つきの悪さにあります。

カタログスペックを見ると、ハンターカブのシート高は
と記載されています。

出典ホンダ公式
数字だけ見るとピンとこないかもしれませんが、これは一般的なスーパーカブ110の735mmと比較して、なんと
も高いのです!
バイクにおける数センチの差は、安心感において天と地ほどの差を生みます。
なぜこれほどシートが高いのかというと、ハンターカブは荒れた道や林道を走ることを想定しているため、地面と車体の間の距離を確保する必要があるからです。
身長170cm以上の男性であればそれほど問題にはなりませんが、小柄な男性や女性ライダーの場合、両足が地面にベッタリとつくことは稀です。
つま先立ち、いわゆるバレリーナ状態で信号待ちをすることになります。
これが「危ない」と言われる一つ目の、そして最大の理由です。
理由2:重心が高くグラっときたら支えきれない
二つ目の理由は、重心の高さです。

ハンターカブは「アップマフラー」と呼ばれる高い位置に取り付けられた排気管や、エンジンの吸気口が高い位置にあるシュノーケル吸気ダクト、そして大きく頑丈なリアキャリアなど、車体の上半分に重量物が集中している構造をしています。
物理の法則として、重心が高い物体は一度傾き始めると、倒れようとする力が強く働きます。
車体重量は約118kgと、原付二種の中では決して軽くはありません。
スクーターのように重心が低ければ、多少傾いても足で踏ん張ってリカバリーすることができますが、重心が高いハンターカブの場合、ある一定の角度を超えて傾くと、テコの原理のように急激に重さがのしかかってきます。
初心者のうちは、停車時や取り回しの最中にふとした拍子にバイクを傾けてしまうことがあります。
理由3:独特なシフト操作による誤発進の恐怖
三つ目は、カブシリーズ特有の操作系に関することです。

ハンターカブには、左手のクラッチレバーがありません。その代わりに、左足のペダル操作だけでギアチェンジを行う「自動遠心クラッチ」というシステムを採用しています。
特に注意が必要なのが、発進時のアクセルワークです。
ギアが入っている状態でうっかりアクセルを大きく開けてしまうと、クラッチ操作がない分、ダイレクトにエンジンの力がタイヤに伝わり、バイクが急発進(飛び出し)してしまうリスクがあります。
「エンストしない」というメリットは、裏を返せば「どんな操作でも進んでしまう」というリスクにもなり得ます。この独特の操作感に慣れるまでの間は、意図しない挙動に驚いてヒヤッとする場面があるかもしれません。
【結論】ビギナー向けではない?対策すれば最高の愛車?

ここまでネガティブな要素ばかりを並べてしまいましたが、ここで誤解しないで欲しいのは、ハンターカブは決して「欠陥車」でも「乗ってはいけない危険な乗り物」でもないということです!
むしろ、上記の特性を理解し対策さえ講じれば、初心者にとっても最高の相棒になり得るポテンシャルを秘めています。
慣れれば自転車感覚で乗れる安定感
先ほど足つきや重心の話をしましたが、それはあくまで「停車時」や「極低速時」の話です。

ひとたびタイヤが回り出し、走り出してしまえば、ハンターカブの印象はガラリと変わります。
大径の17インチタイヤとしっかりとしたフレーム剛性のおかげで、走行中の安定感は125ccクラスの中でもトップレベルです。
小径タイヤのスクーターは路面の段差に弱くハンドルを取られやすいですが、ハンターカブは多少のデコボコ道でも何事もなかったかのように直進します。
ABS標準装備や安全装備は現代トップレベル
また、現代のバイクらしく安全装備もしっかりしています。
特にフロントブレーキにはディスクブレーキとABSが標準装備されています。これは初心者にとって非常に心強い味方です。

突然の飛び出しや雨の日の急ブレーキなど、パニックになってブレーキレバーを強く握り込んでしまったとしても、ABSが作動してタイヤのロックを防いでくれます。
クラシックな見た目とは裏腹に、中身は最新の安全技術で守られています。
女性でも簡単に運転できる
要するに、ハンターカブが「危ない」と言われるシーンは、そのほとんどが「止まっている時」か「止まる寸前」に集中しています。
裏を返せば、この停車時の足つき問題さえクリアしてしまえば、運転操作そのものは非常にシンプルで簡単なのです。
オートマチック限定免許で乗れる手軽さと、カブならではのタフさは、本来女性ビギナーにこそおすすめしたい要素です。
「危ない」を「安全」に!初心者がやるべき3つの対策

ハンターカブを安全に楽しむためには、根性論ではなく、物理的なアプローチと練習が必要です。以下の3つの対策を講じることで、「危ない」というリスクは劇的に低下します!
ローダウンシートへの交換は必須レベル
足つきに不安があるなら、迷わず「ローダウンシート」を導入してください。

これはカスタムパーツの中でも最も費用対効果が高い投資です。純正シートから交換するだけで、シート高を約2cmから3cm下げることができます。
たかが2cmと思うかもしれませんが、バイクの足つきにおける2cmは世界を変えます。
これまでつま先ツンツンだった状態から、足の裏の半分が接地するようになるだけで、信号待ちでの安心感は何倍にも膨れ上がります!
厚底のライディングブーツで物理的に足を伸ばす
バイク側の高さを下げたら、次は人間側の足を伸ばしましょう。
普段のスニーカーではなく、底の厚いライディングブーツを履くことを強くおすすめします。しっかりとした厚底のブーツを履けば、さらに2cmから3cmほど足つきを稼ぐことができます。
ローダウンシートと合わせれば、合計で5cm近く足つきが改善される計算になります。これだけ違えば、全く別のバイクに乗っているような感覚になるでしょう。
最初は広い場所で「発進・停止」を練習する
操作系の不安に関しては、練習あるのみです。
納車されたその足で、いきなり交通量の多い幹線道路に出るのは避けましょう。まずは自宅近くの交通量の少ない道や、許可された広い駐車場などで、「発進」と「停止」の練習を繰り返してください。
特に独特なシフトチェンジの感覚を足に覚え込ませることが重要です。
アクセルを戻してペダルを踏み込むリズム、ブレーキをかけてスムーズに止まる感覚。これを体が覚えるまでは、無理な遠出は禁物です。
実際に「ヒヤッとした・・」瞬間と回避術

対策をしていても、公道を走っていればヒヤッとする瞬間は訪れます。ここでは、実際にハンターカブに乗っているオーナーたちが経験した「危なかった場面」と、その回避術を共有します。
事前に知っておくだけで、いざという時の冷静さが変わります。
強風時の運転(橋など)
ハンターカブは車体がスリムで比較的軽量なため、横風の影響を受けやすいという弱点があります。
この時の回避術は「ニーグリップ」を意識することです。

特に海沿いの道や、風を遮るものがない大きな橋の上では、突風に煽られて車体が流される感覚に襲われることがあります。これは初心者にとっては非常に怖い体験です。
ハンターカブは構造上、タンクを膝で挟むニーグリップがしにくい形状をしていますが、意識して太ももを車体(センターフレーム付近)に押し付けるように密着させることで、人馬一体感が高まり、風に煽られてもふらつきにくくなります。
砂利道や濡れたマンホールの走行
ちょっとした砂利道でも
慣れてないとちょっと怖いな…
緊張感が半端なかった💦
でもハンターカブのブンちゃんは
なんか余裕の猫背やった(笑)#ハンターカブ #スーパーカブ #カブ主 #バイク女子 pic.twitter.com/20xxAX8H9t— パー子 (@BP_ARMY33) June 6, 2023
オフロードっぽい見た目をしているため、砂利道もへっちゃらだと思って突っ込んでいくと、痛い目を見ることがあります!
純正タイヤはあくまでオンロードとオフロードの中間的なタイヤであり、本格的なオフロードタイヤほどのグリップ力はありません。
特に雨の日のマンホールや白線の上、浮き砂利のあるカーブなどは滑りやすいポイントです。
「ブロックタイヤだから滑らない!」という過信は捨て、「滑るかもしれない・・」という慎重さを持って運転することが最大の防御です。
最後に統括

ここまで詳しく解説してきましたが、結論としてハンターカブは決して「危ないだけのバイク」ではない。
「足つきの悪さ」や「重心の高さ」といった明確な理由はありますが、それは裏を返せば「高い走破性」や「タフな積載性」といったメリットの表れでもあります。
「危ない」と言われる理由のほとんどは、事前の知識と準備でカバーできるものです。
ローダウンシートや厚底ブーツで足つきを改善し、安全な場所で操作の練習を積めば、ハンターカブは初心者にとっても最高の相棒になります。
むしろ、その安定した走行性能と最新の安全装備は、慣れてしまえば他のバイクには戻れないほどの安心感を与えてくれるでしょう。
不安だからといって諦めてしまうのはあまりにも勿体無い魅力的なバイクです。もしどうしても不安が拭えない場合は、一度レンタルバイクで試乗してみることをおすすめします。
実際にまたがってみて、足つきを確認し、少し走ってみれば、「これなら対策すればいけるかも!」という手応えを感じられるはずです。
しっかりと準備をして、ハンターカブとの素晴らしいバイクライフをスタートさせよう!
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二級二輪整備士:大型二輪免許取得:愛車Lead125
125cc専門の情報発信者。各車種のスペックや走行性能、燃費比較からメンテナンスまで知識ゼロから詳しくなれるよう、すべてを“教科書レベル”で徹底解説しています!
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