
ホンダのPCX160は、スタイリッシュなデザイン、驚異的な燃費、そして何より高速道路に乗れる156ccの排気量が魅力の、現代を象徴するスクーターです。
「日常の足として最高」「通勤・通学に最強」といった高評価はよく聞きますが、一つ気になる疑問がある。
それは「PCX160の二人乗り(タンデム)で、高速道路を走ったらどうなるのか?」という点。。
ぶっちゃけ、これをレビューしていきたい。
軽二輪クラスとはいえ、そのコンパクトな車体に二人分の体重と荷物を乗せ、時速100km/h近い速度で高速道路を走行するのは、物理的にヤバいのではないか?
そこで、私はあえてPCX160に彼女を乗せ、約50kmに及ぶ高速道路の二人乗りを敢行しました。
結果、私がこの走行で感じたのは「ヤバい!」の一言に尽きます。この「ヤバい」には、想像以上の性能の限界、安全性への不安、そしてパッセンジャーからの不満が詰まっています。
この記事では、PCX160の高速二人乗りでの動力性能、安定性、快適性のリアルを徹底的にレビューします。
■この記事でわかること
- 【レビュー】PCX160で高速道路を二人乗りしたら「ヤバい」と感じた理由
- PCX160の二人乗りで高速走行は苦行?動力性能をレビュー
- 安全に関わる重要点:PCX160の高速二人乗りでの安定性
- パッセンジャー(後部座席)の快適性は最悪?疲労度を検証
- PCX160で高速二人乗りを快適にするための対策
- 最後に統括
【レビュー】PCX160で高速道路を二人乗りしたら「ヤバい」と感じた理由


ホンダのPCX160は、高速道路を利用できる軽二輪クラスであるため、「タンデム(二人乗り)で遠出したい」と考えるライダーも多いでしょう。
しかし、実際にPCX160で高速道路を二人乗り走行してみて、私は正直に言って「ヤバい・・」と感じました。
この「ヤバい」という表現は、単純にネガティブな意味だけでなく、このバイクの限界点と、それを超えて使用することのリスクを強く示唆しています。
特に、都市高速のような短区間利用であれば許容範囲ですが、長距離を走るとなると話は別です!
高速道路での二人乗り走行の総合評価

PCX160の高速タンデム走行を評価するなら、快適性・疲労度・安全性のすべてにおいて「条件付きで及第点・・」といった評価になります。
まず、快適性については、ライダー、パッセンジャーともに「シートの硬さ」と「振動」の影響で、1時間程度の走行で疲労を感じ始めます。
PCX160のコンパクトな車体は、高速域での微細な振動をドライバーにダイレクトに伝えてしまう傾向があります。
次に、最も懸念すべきは安全性です。
法定速度内の巡航は可能ですが、追い越しや上り坂での再加速の余裕が極端に少なくなり、非常に神経を使います。
特に車体重量の増加とパワーの限界から、常に全開に近いスロットル操作を強いられ、精神的な疲労も大きくなります。この「余裕のなさ・・」こそが、私が「ヤバい!」と感じた最大の理由です。
【レビューの前提】走行ルートや乗車した人の体重や体格

このレビューの信頼性を高めるため、走行時の具体的な条件を明記します。
今回の走行ルートは、東京近郊の首都高速道路(渋滞なしの区間を含む)と、東名高速道路の一部区間(約50km)です。
乗車した人間の体格は、以下の通りです。
合計体重は105kgで、これに加えてシート下のラゲッジスペースに荷物(約5kg)を積載した状態でのレビューとなります。
この総重量は、PCX160にとって決して軽くない負荷であると言えます。
PCX160の二人乗りで高速走行は苦行?動力性能をレビュー

高速道路において、バイクの動力性能は単なる快適性の問題ではなく、安全性の根幹に関わってきます。
PCX160の排気量は156ccであり、125ccと比較すれば大幅なパワーアップを果たしていますが、二人乗りとなると、その排気量の余裕は一気に失われます!
巡航速度(法定速度)の維持は可能か?

結論から言うと、PCX160の二人乗りでも、日本の高速道路における一般的な法定速度(80km/h~100km/h)の維持は可能です。
しかし、その維持の仕方に大きな問題があります。
メーター読みで100km/hをキープしようとすると、平坦な道でもスロットルは8割以上開け続ける必要があり、エンジンは常に高回転域で唸っている状態になります。
この状態は、エンジンへの負荷が非常に高く、燃費も悪化します。
また、アクセルにほとんど余裕がないため、周囲の流れに合わせて速度を微調整する柔軟性を欠くことになります。
追い越し車線ではなく、走行車線を淡々と走るのが精一杯という印象です。
追い越しや合流時の加速性能はどうか?

追い越しや料金所からの合流など、一時的に速度を上げる必要があるシーンで、PCX160は大きな壁にぶつかります。
一人乗りであれば、100km/hからの再加速でも多少の余裕がありますが、二人乗りでは、そこからさらに加速するまでの時間が非常に長く感じられます。
これは、後続車や追い越し先の車との速度差を埋めるのに時間がかかることを意味し、極めて危険です。
特に、大型車が多く走る幹線道路の高速合流では、後方からの猛スピードで接近する車に対し、こちらの加速が追いつかないという冷や汗をかく場面が何度かありました。
登坂車線や坂道でのパワー不足・・
高速道路の二人乗りでPCX160のパワー不足が最も顕著になるのが、長い上り坂や勾配のきつい区間です。
平坦路でなんとか維持していた100km/hの速度は、坂に差し掛かった途端にみるみる落ちていきます。。
スロットルを全開にしても速度が回復せず、最終的には90km/h、場合によっては85km/h程度まで落ち込み、大型車にどんどん追い抜かれていく状況になります。
このような場合、走行車線を走っていても、周囲の車との速度差が大きくなり、後続車へのプレッシャーとなって非常に疲れます。
PCX160の二人乗りで高速道路を利用する場合は、登坂車線がある区間では迷わずそちらを利用するくらいの心構えが必要です。
安全に関わる重要点:PCX160の高速二人乗りでの安定性

動力性能の限界以上に、PCX160の高速二人乗りで安全性を脅かす要素となるのが、その車体の安定性です。
PCX160は街乗りでの機動性を重視したコンパクト設計であり、これが高速域ではデメリットとなります。
横風に対する影響度と車体のフラつき
富士五湖道路はなかなか好きな有料道路。
勾配を高速で走っていくと、青空に突っ込んでいけそうな気がする爽快感が味わえます。
今日は雲がかかって富士山が見えませんでしたが、雲がないと目の前に「ドーン」とでっかい富士山が見えて、空と富士山に突っ込めますw#pcx #pcx160 pic.twitter.com/70dl14ort3
— キタムラ @ Tanweb (@office151a) August 19, 2022
PCX160は、乾燥重量が約130kgと軽量な部類に入ります。
二人乗りで重くなるとはいえ、車体の軽さは高速走行時、特に横風の影響を非常に受けやすいという特性につながります。
今回は海沿いの橋の上や、防音壁が途切れた区間で特に強い横風に遭遇しました。
その際、車体が予想以上に煽られ、常にハンドルを取られる感覚がありました。一人乗りであればまだしも、二人乗りではパッセンジャーの動きも加わるため、そのフラつきはさらに大きく、非常に恐怖を感じました。。
この不安定感は、ライダーの疲労を早める大きな原因となります。高速道路で横風が強い日は、PCX160の二人乗りは避けるべきと言えます。
二人乗り時(高負荷時)のブレーキの効きと制動距離

二人乗りでは、停止時の車重が一人乗りよりも約2割〜3割増加します!
この状態で急ブレーキをかけた際、PCX160のブレーキ性能が十分かどうかが問題となります。
PCX160のリアブレーキは旧型からディスクブレーキに進化しており、一人乗りでの制動力は十分です。しかし、二人乗りで高速域から減速する際には、制動距離が目に見えて伸びるため、車間距離を一人乗りの時よりも大幅に取る必要があります。
また、急な減速を強いられた場合、パッセンジャーが前方に強く体が振られるため、パッセンジャーへの負担も大きくなります。
ライダーは、通常よりも遥かに早めのブレーキ操作を心がけなければなりません。
振動や直進安定性の変化
PCX160は、フレームが車体中央部に燃料タンクを持つ設計のため、一般的なスクーターよりも剛性は高いと評価されています。
しかし、二人乗りで高速走行を続けると、そのフレーム剛性の限界が垣間見えます。
高回転で巡航する際に発生するエンジンからの微細な振動は、路面のギャップと相まって、特にリア周りからダイレクトに伝わってきます。
また、コンパクトなホイールサイズ(フロント14インチ、リア13インチ)も相まって、高速での直進安定性は250cc以上のバイクに比べると劣ります。
特に段差を乗り越えた後の収束に時間がかかり、二人の体が一緒に揺さぶられるため、非常に疲労が溜まりやすいのです。
パッセンジャー(後部座席)の快適性は最悪?疲労度を検証

高速道路での二人乗りは、ライダーだけでなくパッセンジャーの快適性も重要です。
PCX160のタンデムシートは、短時間の移動には問題ありませんが、高速走行という特殊な環境下では、不満点が噴出してきます。
シートの硬さや座面(幅・長さ)はタンデム向きか?

PCX160のシートは、一人乗りでも「硬め」という評価が多いです。
この硬さは、高速道路での長距離走行では、パッセンジャーにとって致命的な欠点となります。
長時間の着座によって、お尻の特定の箇所に圧力が集中し、約1時間でパッセンジャーから「お尻が痛い・・」という訴えが出ました。
また、タンデムシートの前後長自体は十分確保されていますが、高速での加速や減速の度に体が前後にずれてしまうため、常に踏ん張る必要があり、足腰に疲労が集中します。
タンデムステップやグラブバーの使い勝手

PCX160のタンデムステップは格納式で使いやすい位置にありますが、パッセンジャーは踏ん張る際にこのステップに力を込めます。
しかし、ステップの位置がやや前方に近すぎるため、長距離では膝から下の角度が窮屈になり、疲労につながります。
また、グラブバー(後部座席の握り棒)は、デザインを重視したコンパクトな形状のため、停車時に車体を預けるのには十分ですが、高速走行中に加速や減速に合わせて体を安定させるための「握りやすさ」としては、やや不満が残ります。
パッセンジャーが常にライダーの腰を掴んで体制を維持する必要があるため、パッセンジャー側の疲労度も高まります。
風当たりや排気音は気になるか?
PCX160は標準で大型のスクリーン(風防)が装備されていますが、その恩恵は主にライダーの胸元までです。
パッセンジャーは、高速走行時にはライダーの頭上を越えてきた強い風圧を全身で受けることになります。
特に首元や肩に当たる風圧は強く、体が後ろに引っ張られるのを防ぐために、無意識に力が入ってしまい、首や肩のこりの原因となります。
また、前述の通り、高速巡航ではエンジンが高回転を維持するため、排気音やエンジン音も高くなり、会話が困難になるほどの騒音となります。
この騒音も、パッセンジャーの精神的な疲労を増加させる要因の一つです。
PCX160で高速二人乗りを快適にするための対策

PCX160での高速二人乗りをどうしても実行する必要がある場合、その「ヤバさ」を軽減するための対策は存在します。主に、不安定な車体を補い、快適性を向上させるカスタムパーツの導入が有効です。
快適性を高めるなら必須!おすすめのカスタム
最も効果的で、二人乗りでの安定性向上に直結するのがリアサスペンションの交換です。
ノーマルのリアサスペンションは、二人乗りの高負荷に耐える設計ではないため、沈み込みが大きく、路面のギャップに対する収束性が悪化します。

そこで、私が最もおすすめするエンデュランスの高性能リアサスペンションに交換することで、車体の沈み込みを抑え、高速での安定性を劇的に改善できます!
また、パッセンジャーの風圧対策としては、ロングスクリーンへの交換も非常に有効です。
ライダーの頭上を通過する風の流れを上方に逸らすことで、パッセンジャーが受ける風圧を大幅に軽減し、疲労を和らげることができます。

そこで、私がおすすめするのがトクトヨの風防ロングスクリーンです!
さらに、シートの硬さ対策として、カスタムシートへの交換を検討することで、お尻の痛みを軽減できます。

私がおすすめするバックレスト付き低反発シートです。
空気圧の調整は必須!適正値と乗り心地の変化
HONDAの公式には、一人乗りと二人乗りでのタイヤの指定空気圧が明確に記されています。

出典ホンダ公式
二人乗り走行を行う際は、必ず指定された二人乗り用の空気圧に調整することが安全面で必須です。
一人乗りの空気圧のまま二人乗りで高速走行を行うと、タイヤが潰れすぎてしまい、高速での安定性が極端に低下し、バーストのリスクも高まります。
適正な空気圧にすることで、タイヤの剛性が高まり、直進安定性やハンドリングの改善が期待できます。
そもそも高速二人乗りを避けるべきケース
カスタムを施したとしても、PCX160が本質的に「高速二人乗り専用機」になるわけではありません。安全のため、以下のような状況での高速二人乗りは避けるべきです。
これらの条件に該当する場合は、無理せず休憩を多めに取るか、公共交通機関、あるいはより排気量の大きなバイクに頼るのが賢明です。
最後に統括


PCX160での高速道路二人乗りは、「走れる」けれども「快適ではない」というのが最終的な結論です。
このバイクは、スタイリング、燃費、街中での使い勝手という点で非常に優れたコミューターですが、高速道路での二人乗りは、設計上の限界に挑戦する行為であると言わざるを得ません。
動力性能の余裕のなさ、特に追い越しや登坂路でのパワー不足は、安全運転に必要な柔軟性を欠きます。
また、軽量な車体ゆえの横風に対する不安定さ、コンパクトな車体設計に起因する振動の伝わりやすさは、ライダーとパッセンジャー双方の疲労を急速に高める要因となります。
もし、あなたの用途が「短距離の都市高速をたまに利用する」程度であれば、カスタムや空気圧調整で許容範囲になるでしょう。
しかし、「週末に長距離ツーリングを楽しみたい」「快適性を犠牲にしたくない」という場合は、PCX160の二人乗りは「ヤバい」というレビューの通り、そのリスクを背負うことになります。
本格的なタンデム走行を検討されているなら、PCX160の機動性を手放すことになっても、250ccクラス以上のスクーターを選択するのが、安全と快適性の両面から見て最も賢明な判断です。
PCX160は、あくまでも街乗りメインで高速道路も走れる「プレミアムコミューター」として割り切って使用することをおすすめします!
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二級二輪整備士:大型二輪免許取得:愛車Lead125
125cc専門の情報発信者。各車種のスペックや走行性能、燃費比較からメンテナンスまで知識ゼロから詳しくなれるよう、すべてを“教科書レベル”で徹底解説しています!
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