【間違えるな!】PCX/エンジンオイルの頻度&量は適正か?

ホンダ車
Taku
Taku

PCXオーナー諸君!今回はエンジンオイルの頻度や量の適正について解説していく。

ホンダが世界に誇るこのPCXと言う名車は、非常に頑丈に作られていますが、その心臓部であるエンジンの健康状態を維持するために絶対に欠かせないものがあります。

それがエンジンオイルの管理だ!

多くのオーナーが抱える悩みとして、エンジンオイルの交換時期や頻度、そして適正量に関する疑問が挙げられます。

インターネット上には様々な情報が溢れており、メーカー推奨の数値とバイクショップのアドバイスが異なることも珍しくない。。

このコンテンツでは、プロの二級二輪整備士である私が、PCXのパフォーマンスを最大限に引き出し、長く乗り続けるために不可欠なエンジンオイルの知識を網羅的に解説します!

■この記事でわかること

  • そもそもなぜPCXのエンジンオイル管理が重要なのか?
  • PCXのエンジンオイル交換「頻度」の正解を知れ!
  • PCXのエンジンオイル「量」の適正値を徹底解説
  • DIY vs バイクショップ:どちらを選ぶべきか?
  • 最後に統括

そもそもなぜPCXのエンジンオイル管理が重要なのか?

Taku
Taku

エンジンオイルは、よく人間の血液に例えられますが、PCXに搭載されているeSPエンジンにとってもその役割は極めて重要です。

出典ホンダ公式

エンジン内部では、金属部品同士が高速で擦れ合いながら回転や往復運動を繰り返しています。

オイルはこれらの部品の間に薄い油膜を作り、摩擦を減らして滑らかな動きを助ける潤滑作用を担っています。

もしオイル管理を怠れば、この油膜が切れて金属同士が直接触れ合い、摩耗が急激に進行することになります。

さらにエンジンオイルには、潤滑以外にも重要な役割があります。

燃焼によって発生する強烈な熱を吸収して逃がす冷却作用、ピストンとシリンダーの隙間を埋めてパワーダウンを防ぐ密封作用、燃焼の過程で発生するスラッジなどの汚れを取り込んでエンジン内部を綺麗に保つ清浄作用、そして金属表面を覆ってサビを防ぐ作用です。

これら全ての機能が正常に働いて初めて、PCXはカタログ通りの燃費と安定性を発揮することができます。

しかし、オイルは走行距離が増えるにつれて劣化し、また時間が経過するだけでも酸化が進んでいきます。

劣化したオイルは粘度が低下して油膜を保持できなくなったり、汚れを取り込む能力が限界に達してエンジン内部にスラッジを堆積させたりする原因となります。

そのため、適切な時期に適切な量のオイル交換を行うことは、PCXの寿命を決定づける最も重要なメンテナンス項目と言えるのです!

PCXのエンジンオイル交換「頻度」の正解を知れ!

Taku
Taku

エンジンオイルをいつ交換すべきかという問いに対して、絶対的な正解を一つだけ提示することは困難です。

なぜなら、車両の使われ方によってオイルの劣化スピードは劇的に変化するからです。

しかし、基準となる指標を知り、自身の利用状況と照らし合わせることで、最適な交換タイミングを見極めることは可能です。それを今から細かく細分化してお伝えしていく。

メーカー(ホンダ)が推奨する交換サイクル

まず基本となるのが、ホンダが公式に発表している取扱説明書記載の推奨交換時期です。

PCXの多くのモデルにおいて、メーカーは初回交換を1,000kmまたは1ヶ月、それ以降は3,000kmごとまたは1年ごとの交換を推奨しています。

出典ホンダ公式

出典ホンダ公式

この数値を見て、意外と長い距離を走れるのだなと感じるオーナーも多いかもしれません。

メーカーの推奨値は、そのエンジンが設計通りの性能を維持するために最低限必要なラインとして設定されていますが、これはあくまで標準的な走行条件を想定したものです。

ここで特に注目すべきは、新車購入後の初回交換の重要性です。

組み立てられたばかりの新品のエンジンは、内部の金属部品同士が馴染む過程で微細な金属粉が発生します。これを初期馴染みと呼びますが、この金属粉を含んだオイルを長く使い続けることはエンジンにとって良くありません。

そのため、初回の交換だけは極めて早い段階で設定されており、このタイミングでオイルと共に汚れを排出し、エンジン内部をクリーンな状態にリセットすることがPCXの一生を左右すると言っても過言ではありません!

私の個人的な適正交換頻度は、頻繁に走るオーナーなら3,000kmごと、あまり走らないオーナーなら半年に一度を目安にするのがいいと思います。

街乗りや通勤メインの実情に合わせた交換頻度

メーカー推奨の6,000kmという数値は、信号の少ない平坦な道を一定の速度で走り続けるような、エンジンにとって理想的な環境であれば問題ありません。

しかし、日本の道路事情、特にPCXが活躍する都市部での通勤や通学といった使用環境は、エンジンにとって非常に過酷な条件であることがほとんどです。

これはいわゆる「シビアコンディション」と呼ばれる状態に該当します。

■シビアコンディションとは?

平坦路での走行や、一定速度の走行を想定した標準的な使用に比べて、シビアコンディション(クルマにとってより厳しい使用状況)の場合には、部品やオイルなどの劣化が早まることがあります。たとえば、ストップ&ゴーを繰り返すような渋滞や、エンジンやオイルが充分に温まらない状態の低速や短距離の走行、また登坂路やホコリが多いなどの使用環境によっても、クルマはシビアコンディションにさらされています。

出典ホンダ公式

例えば、片道8km以内の通勤でエンジンが完全に温まりきる前に目的地に到着してしまうような使い方は、エンジン内部に結露による水分を発生させやすく、それがオイルに混入して乳化や劣化を早める大きな要因となります。

また、渋滞路でのストップアンドゴーは油温の上昇を招き、オイルの酸化を促進させます。

このような環境下で使用されるPCXの場合、メーカー推奨値通りの交換サイクルでは遅すぎる可能性が高いのです。

多くのバイクショップや熟練のメカニックが、3,000kmごと、あるいは半年に一度の交換を推奨するのはそのためです。

早めの交換は、オイルが完全に性能を失う前に新しいものに入れ替えることで、常にエンジンを保護膜で守り続けるための保険のようなものです。

コストは若干増えますが、エンジンの健康維持という観点からは、3,000kmごとの交換が日本の交通事情における実質的な正解と言えるでしょう。

オイル交換をサボるとどうなる?

もし適切な頻度でのオイル交換を怠り続けると、PCXのエンジンには徐々に、しかし確実にダメージが蓄積されていきます。

初期段階では、エンジンの回転フィールが重くなったり、燃費が以前よりも悪化したりといった症状が現れます。

また、エンジンのメカニカルノイズが大きくなり、新車時のような静粛性が失われていくことにも気づくでしょう。

さらに状況が悪化すると、劣化したオイルがヘドロ状のスラッジとなってエンジン内部の至る所にこびりつきます。

このスラッジがオイルの通り道を塞いでしまうと、必要な場所にオイルが供給されなくなり、ピストンやシリンダー、カムシャフトといった主要部品が異常摩耗を起こします。

最悪の場合、走行中にエンジンが焼き付いてロックし、急停止するという危険な事態や、エンジンの載せ替えが必要になるほどの致命的な故障につながります!

PCXのエンジンオイル「量」の適正値を徹底解説

Taku
Taku

交換頻度と同じくらい重要なのが、エンジンオイルの量です。オイルは多すぎても少なすぎてもエンジンに悪影響を及ぼすため、規定量を正確に守ることが求められます。

PCXの正確なオイル規定量

PCXのエンジンオイル規定量は、モデルの型式や年式によって微妙に異なる場合がありますが、歴代のPCXシリーズにおいては概ね全容量が0.9リットル程度、通常のオイル交換時の規定量は0.8リットルであることが理想的です。

出典ホンダ公式

ただし、これはあくまで目安であり、エンジンを分解した場合と、単にドレンボルトを外してオイルを抜いた場合とでは、注入すべき量は変わってきます。

通常のオイル交換であれば、エンジン内部に残留するオイルを考慮して0.8リットルを基準に準備することになりますが、ここで注意が必要なのは、必ずレベルゲージで実測して最終確認を行うことです。

数値だけを盲信して計量カップで測ったオイルを流し込み、確認を怠るのは危険です。前回入っていたオイルが完全に抜けきっていない場合もあり、その状態で規定量を入れると入れすぎになってしまうからです。

必ずご自身の車両の取扱説明書や、車体に貼られているステッカー等で正確な数値を確認する習慣をつけてください。

オイル量を測る「レベルゲージ」の正しい使い方

PCXのオイル量確認には、注入口のキャップに付いているレベルゲージを使用します。

しかし、この使い方が間違っているケースが非常に多く見受けられます。最も一般的な間違いは、キャップをねじ込んで測定してしまうことです。

ホンダ車の多く、そしてPCXにおける正しいオイルレベルの確認方法は、キャップをねじ込まずに、注入口のネジ山に乗せた状態で測定するというものです。

✅️正しい使い方手順

まず平坦な場所でセンタースタンドを立ててエンジンを始動し、数分間アイドリングさせて暖機運転を行います。

その後エンジンを停止し、オイルがオイルパンに戻るまで2分から3分程度待ちます。

そしてキャップを外し、付着しているオイルをウエスで綺麗に拭き取ってから、穴に差し込みます。

この時、決してねじ込んではいけません!

単に差し込んで、ネジ山に当たったところで止め、引き抜いて先端の網目状やギザギザ状になっている範囲内にオイルが付着していれば適正です。

このねじ込むか、ねじ込まないかの違いだけで、レベルの測定結果は大きく変わってしまいます!

ねじ込んで測定すると、実際よりも液面が高く表示されてしまうため、本当はオイルが不足しているのに適正だと誤認してしまう恐れがあります。

この測定作法はPCXオーナー必須の知識として覚えておくべきでしょう。

オイルの入れすぎ&少なすぎが引き起こす問題

オイル量が適正範囲を超えて多すぎる場合、クランクシャフトが回転する際に余分なオイルを叩いてしまい、大きな抵抗が発生します。

これを「撹拌抵抗(かくはんていこう)」と呼びますが、エンジンの回転が重くなり、加速が鈍くなったり燃費が悪化したりする原因となります。

また、行き場を失ったオイルがブローバイガス還元装置を通じてエアクリーナーボックスに吹き返し、エアフィルターをオイルで汚してしまうトラブルも発生しやすくなります。

逆に、オイル量が少なすぎる場合はさらに深刻です!

オイルポンプが空気を吸い込んでしまい、油圧が安定せず潤滑不足に陥る可能性があります。

また、オイルの総量が少ないということは、それだけ熱を吸収できる容量が少ないということであり、油温が急激に上昇してオーバーヒート気味になったり、オイルの劣化が早まったりします。

オイルレベルはアッパーレベル(上限)とロアレベル(下限)の間にあれば問題ありませんが、基本的にはアッパーレベル付近に合わせておくのが安心です。

DIY vs バイクショップ:どちらを選ぶべきか?

Taku
Taku

PCXのオイル交換は比較的単純な作業であるため、自分で挑戦するDIY派も多いですが、プロであるバイクショップに任せる派もいます。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

DIYで交換するメリット・デメリット

DIYでオイル交換を行う最大のメリットは、工賃の節約と、自分の愛車への理解が深まることです。

自分で手を動かすことで、普段は見ない車体の下回りや汚れ具合を確認する良い機会にもなります。

必要な工具も、

  • メガネレンチ
  • ソケットレンチ
  • 廃油を受けるトレイ
  • 新しいオイル
  • 廃油処理ボックス

など、比較的安価に揃えることができます。

一方でデメリットとしては、作業ミスのリスクが全て自己責任になる点が挙げられます。

特に多いのが、ドレンボルトを締めすぎてネジ山を潰してしまうトラブルや、逆に締め付けが弱くて走行中にオイル漏れを起こすケースです。

エンジンのアルミケース側のネジ山を破損させてしまうと、修理には多大な費用と時間がかかります。また、作業場所の確保や、廃油の処理の手間も考慮しなければなりません。

バイクショップに依頼するメリット

バイクショップに依頼する最大のメリットは、圧倒的な安心感です。

プロは適切な工具とトルク管理で確実に作業を行いますし、オイル交換のついでにタイヤの空気圧やブレーキパッドの残量など、安全に関わる他の部分もチェックしてくれることが多いです。

自分では気づかない不具合の予兆を発見してもらえる可能性があるため、単なるオイル交換以上の価値があります。

廃油の処理や手を汚す心配もありません。工賃はかかりますが、それを安心料として捉えれば決して高くはないでしょう。

【重要】廃油処理の注意点

DIYを選択する場合、避けて通れないのが廃油の処理です。

抜いたオイルを庭に撒いたり、下水に流したりすることは法律で固く禁じられており、深刻な環境汚染につながります!

必ず自治体の指示に従って処理する必要があります。

最も一般的な方法は、ホームセンターやカー用品店で販売されている廃油処理ボックス(オイルパック)を使用することです。

これは箱の中に吸収材が入っており、オイルを吸わせて燃えるゴミとして捨てることができる便利なアイテムです。

ただし、自治体によってはこの方法での回収を受け付けていない場合もあるため、住んでいる地域のゴミ出しルールを事前に確認することが必須です。

最後に統括

Taku
Taku

PCXという完成度の高いコミューターを長く快適に乗り続けるために、エンジンオイルの管理は避けては通れない最重要項目です。

ここまでの解説で、メーカー推奨の頻度とシビアコンディションにおける実情の違い、そして正確なオイル量の測定方法について理解を深めていただけたかと思います。

要点を整理すると、交換頻度は頻繁に走るオーナーなら3,000kmごと、あまり走らないオーナーなら半年に一度を目安にするのが、日本の道路事情においてはエンジンの健康を保つための最適解と言えます。

オイル量は規定量を守ることはもちろん、キャップをねじ込まずにレベルを測定するという正しい作法を徹底することが、トラブルを防ぐ鍵となります。

DIYで愛着を深めるのも良いですし、ショップに任せて安心を買うのも良い選択です。重要なのは、定期的に愛車の状態に関心を持ち、メンテナンスを継続することです。

さあ、今すぐPCXのオドメーターを確認しよう!

前回のオイル交換からどのくらいの距離を走ったのか?、もし記憶が曖昧であったり、3,000kmを超えていたりするようであれば、今週末はオイル交換を予定に入れておいたほうがいい。

新しいオイルで滑らかに回るエンジンの感覚は、いつもの通勤路を少しだけ楽しいものに変えてくれるはずだ!

この記事を書いた人
Taku
Taku
二級二輪整備士:大型二輪免許取得:愛車Lead125
125cc専門の情報発信者。各車種のスペックや走行性能、燃費比較からメンテナンスまで知識ゼロから詳しくなれるよう、すべてを“教科書レベル”で徹底解説しています!

コメント