
時折、ハンターカブ(CT125)のフレームが折れて交換せざるを得ない画像とかが、SNS上にアップされているのを見る時がある。
頑固さが売りであるハンターカブのフレームが折れると言う事は、メーカー側のリコールや原因が考えられるモノなのか?
もし走行中にフレームが折れれば、大事故につながる!
この問題は単なるSNSやネット上の噂ではなく、物理的な要因に基づいた現実のリスクです。しかし、正しい知識と対策のスキルを得ていれば、過度に恐れる必要はありません。
このコンテンツでは、なぜ頑丈と言われるハンターカブのフレームが折れてしまうのか?、その物理的な仕組みを徹底的に解説するとともに、メーカー側のリコール状況や、明日から実践できる具体的な対策について詳しく解説していきたいと思います!
■この記事でわかること
- 【現状】ハンターカブのフレームが折れる原因はリコール対象?
- なぜ折れる?フレーム破断の仕組みと原因を解説
- 【折れてた・・】ハンターカブのフレーム交換の流れ
- ハンターカブのフレーム折れに対する3つの対策
- 最後に統括
【現状】ハンターカブのフレームが折れる原因はリコール対象?

まず最初に、多くのオーナーが最も気にしている点について触れておきましょう。それは、このフレーム破損問題がメーカーによる設計上の欠陥、すなわちリコール対象なのかどうかという点です。
メーカー(ホンダ)の公式見解とリコール情報
結論から言うと、現在において、
過去にはチェンジペダルが脱落する恐れがあるといったリコールはありましたが、フレームが折れるという事象に対して、全車両を対象とした回収や修理は行われていないのが現状です。

出典ホンダ公式
メーカー側は現時点でフレームの強度不足を構造的な欠陥とは認めていません。
ネット上ではリコールになるべきだという声も多く上がっていますが、リコールというのは設計や製造工程に明確な不備があり、保安基準に適合しなくなる恐れがある場合に国土交通省に届け出るものです。
フレーム破損のケースの多くが、メーカーが想定している基準を超えた過度な積載や、社外製の延長キャリアを使用したことによる負荷の増大と関連していると判断されているため、一律のリコール措置には至っていないというのが実情です。
無償交換(保証修理)になるケース

では、万が一フレームに亀裂が入ったり折れたりした場合、すべてが自己責任となり有償修理になってしまうのか?
これはケースバイケースであり、無償交換、つまりメーカー保証の対象になる場合とならない場合があります。
新車で購入してから2年以内の保証期間内であれば、当然ながら保証修理の申請を行う権利があります。
無償交換が認められやすいケースとしては、車両がノーマルの状態に近く、メーカー純正のキャリアを使用し、かつ取扱説明書に記載されている積載制限重量を守っていたにもかかわらず破損した場合などが挙げられます。
この場合、通常の使用範囲内で製品の強度が不足していたとみなされ、クレーム処理としてフレーム交換が行われる可能性があります。
無償交換にならないケース

一方で、保証対象外となる可能性が高いのが、社外品の延長キャリアや特大のリアボックスを装着していた場合です。
特にキャリアの後ろにさらにキャリアを継ぎ足すようなカスタムは、フレームにかかる負荷を劇的に増大させます。
メーカーの想定外の使い方が原因で破損したと判断されれば、たとえ保証期間内であっても有償修理となることが一般的です。
また、悪路走行や転倒歴がある場合も、外部からの衝撃が原因とされ、保証が効かないことがあります。
重要なのは、ディーラーが車両の状態を見てどう判断するかという点ですが、明らかに過積載の痕跡がある場合は厳しい対応になることを覚悟しておく必要があります。
なぜ折れる?フレーム破断の仕組みと原因を解説

頑丈無比なカブの神話を持つハンターカブのフレームが、なぜ折れてしまうのか?
これには金属疲労と物理法則が深く関係しています。感情論ではなく、メカニズムを知ることで本当の恐怖と対策が見えてきます。
折れる場所は「シート下の溶接部分」一択
SNSなどで報告されている破損事例を見ると、折れる場所は驚くほど共通しています。
それは、シートの下あたり、具体的にはメインフレームとリアのサスペンションが取り付けられている部分の近くにある溶接箇所です。

ハンターカブのフレームは、「バックボーンフレーム」と呼ばれる背骨のような一本のパイプを主構造としています。
エンジンの上を通り、シートの下で後ろに向かって伸びていく構造ですが、ちょうどシートの後ろ端あたりで荷重を支えるための補強板やパイプが溶接されています。
この溶接部分は、金属の組織が熱によって変化している場所であり、構造的に応力が集中しやすいポイントでもあります。
ここに想定以上の負荷が繰り返し掛かることで、目に見えない微細な亀裂が入り、それが徐々に広がって最終的に破断に至るのです。
最大の原因は「大型リアボックス」によるテコの原理
では、なぜその一点に負荷が集中するのか?
最大の原因は、ハンターカブの魅力でもある巨大なリアキャリアと、そこに積載される大型リアボックス、そして「テコの原理」にあります。

ハンターカブの純正キャリアは非常に大きく頑丈に見えるため、ユーザーはついキャンプ道具を満載した箱や、45リットルを超えるような巨大なアルミボックスを載せたくなります。
さらに積載量を増やすために、キャリアを後ろへ延長するパーツを使う人もいます。
ここで物理の法則が牙を剥きます。
フレームの折れる溶接部分を「支点」、荷物の重さを「作用点」と考えると、支点から作用点までの距離が長ければ長いほど、支点にかかる力は何倍にも増します。
特にリアキャリアの最後尾や、さらに後ろに延長した位置に重いボックスを載せると、その距離は非常に長くなります。積載物には重力の数倍のG(加速度)がかかります。
それが長い腕を介して「テコの原理」で増幅され、フレームの一点に強烈な曲げモーメントとして襲いかかるのです。
JA55(旧型)とJA65(新型)で違いはあるか?

ハンターカブには、2020年に登場した初期型のJA55と、新しいエンジンを搭載してモデルチェンジした現行型のJA65が存在します。
これから購入するライダーにとって気になるのは、新型になってフレームの強度は上がったのかという点でしょう。
新型のJA65では、エンジンのマウント方法などが変更されており、フレームの一部形状も見直されています。
実際にJA65においても、過酷な使用環境下でのフレームトラブルの可能性がゼロになったとは言い切れないのが現状です。
新型だからといって無茶な積載をして良いわけではなく、旧型同様に適切な管理と配慮が必要であることに変わりはありません。
【折れてた・・】ハンターカブのフレーム交換の流れ

もし、不幸にもフレームのクラック(亀裂)を見つけてしまった場合、どうすれば良いのか?焦って間違った対処をすると、取り返しのつかないことになります。正しい対処フローを理解しておきましょう。
絶対に「溶接して直そう!」としてはいけない!
クラックを見つけた時、多くの人が最初に思いつくのが溶接して埋めてしまえば直るのではないかというアイデアです。
街の鉄工所やバイク屋さんに頼んで、亀裂部分を溶接してもらおうと考えるかもしれませんが、これは絶対にやってはいけません!
なぜなら、一度金属疲労で割れた場所を再溶接しても、強度は元に戻らないです。
溶接という作業は、金属に高温の熱を加えます。熱を加えられた金属は組織が変化し、焼き入れが入ったように硬く脆くなったり、逆に強度が落ちたりします。
疲労骨折した箇所の周辺はすでに金属疲労が蓄積しており、その上から熱を加えると、今度は溶接した箇所のすぐ隣から新たな亀裂が入るというイタチごっこになります。
フレームというのは、工場出荷時に計算された熱処理と品質管理の下で作られています。
後から素人が部分的に熱を加えることは、全体のバランスを崩し、破断のリスクをさらに高める行為なのです。
ホンダドリームへの相談手順

クラックを発見したら、その時点からハンターカブに乗るのを中止してください。
自宅で発見したならまだしも、出先で見つけた場合は、無理して自走して帰ろうとせず、ロードサービスを呼んでレッカー移動することを強く推奨します。
走行中の振動で亀裂が一気に広がり、走行不能になるリスクがあるからです。
そして、車両を購入した販売店や、ホンダドリームなどの正規ディーラーに連絡を入れます!
単にフレームが割れたと伝えるだけでなく、どのような使い方をしていたか?、積載物はどの程度だったか?、走行距離はどれくらいか?、といった情報を正直に伝えることがスムーズな対応につながります。
フレーム交換は、エンジンや足回り、ハーネスなどのすべてのパーツを新しいフレームに移植する大手術です。
また、フレームナンバーが変わるため、登録書類の変更手続きが必要になる場合もあります。
全バラシからの移植手術
フレーム交換は、バイク整備において最大級の重整備です。
エンジン、足回り、ハーネス、外装など、すべてのパーツを古い車体から取り外し、新品のフレームへ一つひとつ移植します。新車を一台組み立てる以上の手間がかかるため、作業は丸一日〜数日を要します。
ナンバー変更と登録手続き
新品フレームには新しい「車台番号」が刻印されているため、法的には別のバイク扱いとなります。
そのため、役所での「廃車手続き」と「新規登録(新ナンバー交付)」が必要です。同時に、自賠責保険や任意保険の車両入替手続きも忘れずに行わなければなりません。
費用と期間の目安
有償修理となった場合、フレーム単体は数万円ですが、膨大な手間賃(工賃)と消耗品代が加算されます。
総額で15万円〜20万円コースになることも珍しくありません。。
期間も部品手配を含めると3週間〜1ヶ月程度はバイクに乗れなくなります。
このコストと手間を考えると、日頃から過積載を避け、定期的な点検を行うことがいかに重要か分かります。
ハンターカブのフレーム折れに対する3つの対策

ハンターカブは適切な使い方をしていればめったに壊れることはありません。大切なのは、リスクを理解した上で正しく運用することです。今日からすぐに実践できる、愛車を守るための3つの対策を紹介します。
対策1:積載重量「60kg」の罠を理解する

ハンターカブのカタログや取扱説明書を見ると、リアキャリアの積載許容重量についての記載があります。
そこには誇らしげに60kg以下という数値が書かれているかもしれません。
しかし、これを鵜呑みにして、キャリアの一番後ろに60kgの荷物を積んでも大丈夫だと解釈するのは非常に危険な間違いです!
同じ60kgでも、ライダーの背中に密着するような前寄りの位置に積むのと、キャリアの最後端に積むのとでは、フレームにかかる負担は天と地ほどの差があります。
カタログスペックの数値を過信せず、物理的なバランスを常に意識することが第一の対策です。
対策2:定期点検でクラック(ひび割れ)を早期発見

金属疲労による破壊は、ある日突然起こるように見えますが、実際には必ず前兆があります。
それは、塗装表面の微細なひび割れや、溶接ビードの縁に浮き出る赤錆です。金属が内部で悲鳴を上げ始めると、まず表面の塗装が追従できずに割れます。
そこに水分が入り込み、錆が発生します。これを見逃さないことが、最悪の事態を防ぐ鍵となります。
泥や油汚れがついていると発見が遅れるため、こまめに洗車をして、きれいな状態で目視点検を行う習慣をつけましょう。早期に発見できれば、走行中に折れて転倒するという最悪のシナリオだけは回避できます。
対策3:フレーム補強キット等の活用
物理的な強度を上げるために、社外メーカーから販売されているフレーム補強パーツを導入するのも一つの有効な手段です。
現在、いくつかのパーツメーカーから、リアショックのマウント部分とキャリア、あるいは他のフレーム箇所を連結して強度を補うためのサブフレームやダンパーのような製品が販売されています。
これらのパーツの役割は、一点に集中してしまう応力を分散させたり、フレームのしなりを抑制して金属疲労の進行を遅らせたりすることです。
ただし、注意しなければならないのは、フレームをガチガチに固めれば良いというわけではないこと。
ある部分を補強すれば、そのしわ寄せが別の弱い部分に行く可能性があります。信頼できるメーカーが開発した、適度な剛性バランスを持った製品を選ぶことが重要です。
最後に統括

ハンターカブというバイクは、日常の足から世界一周の冒険までこなせる素晴らしいポテンシャルを持っています。しかし、いくらタフなイメージがあっても、物理法則を超越することはできません!
シート下の溶接部分に負荷が集中する構造と、テコの原理による荷重倍増のメカニズムを理解していれば、フレーム破損は防げるトラブルです。
現状ではメーカーによるリコールは行われておらず、オーナー自身の管理能力が問われる状況です。
リコールをただ待つのではなく、リアボックスの位置を見直したり、過剰な積載を控えたり、洗車のたびに溶接箇所をチェックしたりといった能動的なアクションこそが、あなたの愛車を守る唯一の方法です。
常識的な範囲で楽しむ分には、ハンターカブは最高の相棒であり続けます。
正しい知識を持って接することで、不安を払拭し、これからも長く安全にハンターカブライフを楽しむことができるだろう!
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二級二輪整備士:大型二輪免許取得:愛車Lead125
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