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PCX125は、通勤や街乗りで非常に便利ですが、突然のバッテリー切れ(バッテリー上がり)に遭遇すると、非常に困ります。
特に、PCXはカウルに覆われている部分が多く、バッテリーにアクセスしにくいため、「自分で外部から充電できるのか?」「どうやれば安全に充電できるのか?」と悩むオーナーも多いでしょう。
この記事では、PCXのオーナーが知っておくべきバッテリー上がりの本質から、必要な準備、そして外部充電器を使った安全かつ確実な充電の全ステップを、初心者の方でも理解できるように徹底解説します。
この記事を読めば、もうバッテリー上がりに焦ることはありません!
■この記事でわかること
- PCXのバッテリー切れを外部から充電する前に知ること
- PCXを外部から充電するために必要なもの
- 充電器が近くにない場合は外部から何を使って充電するのか?
- 【重要】PCXのバッテリーにアクセスする手順
- 外部充電器を使ってPCXを安全に充電するステップ
- PCXのバッテリーを長持ちさせるための対策
- PCXのバッテリー交換が必要なサインと判断基準
- 最後に統括
PCXのバッテリー切れを外部から充電する前に知ること

PCXのバッテリーが上がる主な本質を知ることは、適切な対策と迅速な対応の第一歩です。原因が分かれば、再発防止にもつながります。
バッテリー上がりの主な本質と理由

バッテリー上がりは、バッテリーが持つ電気(電荷)が、走行中にエンジンが生み出す電気(充電)よりも多く消費された結果、完全に空になってしまう状態を指します。
| 原因 | 説明 | 対策 |
| 長期間の放置 | バイクに乗らない時間が続くと、時計やECU(エンジン制御ユニット)などの微小な待機電流により、徐々にバッテリーが消耗します。 | 最低でも週に一度は30分以上の走行をする。 |
| 電力消費の多いアクセサリーの使用 | 社外品のグリップヒーター、USB電源、高出力のLEDライトなどを長時間使用すると、発電量(充電量)を上回り、バッテリーを酷使します。 | アクセサリーの使用を控えめにするか、走行中に充電量をチェックする。 |
| 充電系統の不具合 | バッテリー自体ではなく、発電機(ジェネレーター)や電圧調整器(レギュレーター)といった充電システムに故障がある場合、走行しても充電されません。 | バイクショップでの専門的な点検・修理が必要です。 |
| ライト類の消し忘れ | PCXの多くのモデルは常時点灯ですが、旧型モデルやカスタムパーツを使用している場合、消し忘れが原因となることがあります。 | 降車時に必ず確認する習慣をつける。 |
PCX特有の注意点(アイドリングストップ機能など)

PCXには、燃費向上と環境負荷低減のためのアイドリングストップ・システム(ISS)が搭載されています。この機能が、バッテリーに特別な負荷をかける側面があります。
バッテリーを長持ちさせるためにも、渋滞時など充電が追いつかないと感じたら、アイドリングストップ機能をOFFにすることも有効な対策の一つです。
PCXを外部から充電するために必要なもの
PCXのバッテリーを外部から安全かつ確実に充電するためには、適切な充電器と工具の準備が不可欠です。
必須の充電アイテム

| アイテム | 詳細と選定ポイント |
| バイク用充電器 | 最も重要。PCXのバッテリーは密閉型(MFバッテリー)が主流です。必ず「密閉型対応」「バイク用(12V、小電流モード搭載)」と明記されたものを選びましょう。高性能な全自動パルス充電器なら、バッテリーの状態に合わせて充電してくれるため、失敗が少なくおすすめです。 |
| 延長コード | 自宅のコンセントからバイクの保管場所までの距離に応じて用意します。屋外で使用する場合は、防水仕様のものを選びましょう。 |
| 保護具 | ゴム手袋、保護メガネは必須です。バッテリー液(希硫酸)の飛散やショートによる火花から身を守ります。 |
あると便利なアイテム
| アイテム | 用途 |
| テスター(デジタルマルチメーター) | 充電前後のバッテリー電圧(V)を測定します。充電開始前に12.0Vを下回っていると、重度の上がりと判断できます。充電完了後、12.6V以上であればOKです。 |
| 工具セット(内張りはがし、ドライバー、ラチェットなど) | PCXはバッテリーにアクセスするために、カウル(カバー)を外す必要があります。車載工具だけでは難しい場合があるため、適切な工具があると作業がスムーズです。 |
充電器が近くにない場合は外部から何を使って充電するのか?

PCXのバッテリーが切れてしまい、近くにコンセントや専用の充電器がない場合、外部から一時的に電力を供給し、エンジンを始動させるための応急処置として、主に以下の方法があります。
充電器がない場合の応急的な対処法
PCXはECU(エンジン制御ユニット)などの電子部品を搭載した精密な車両です。
ジャンプスタート(ブースターケーブルを使用する方法)は、車両に大きなリスクを伴うため、緊急時のみ自己責任で行い、専門家であるロードサービスやバイクショップの利用を強く推奨します!
ジャンプスターター(ポータブル電源)

最も安全で手軽な選択肢は、バイク・車用の小型ジャンプスターターを使用することです。
- 何に使うのか?
バッテリーに繋ぐことで、エンジン始動に必要な瞬発的な電力を供給します。
- 特徴
- 手のひらサイズのものも多く持ち運びが容易です。
- 専用のケーブルでバッテリー端子に接続するだけで使えます。
- 過電流保護機能などがついている製品が多く他の方法に比べて車両へのリスクが低いです。
- 最近では、スマートフォンなどの充電もできる多機能な製品が増えています。
ブースターケーブルと他の車両(車または他のバイク)

他車のバッテリーから電気を一時的に分けてもらい、エンジンを始動させる方法です。「ジャンプスタート」と呼ばれます。
- 何に使うのか?
救援車(充電されている車両)のバッテリーの電気を、ブースターケーブルでPCXのバッテリーに供給します。
- 注意点(非常に重要)
- PCXのような密閉型バッテリーを搭載したバイクへのジャンプスタートは、車両側のECUや電装系を破損させるリスクが非常に高いです。特に車は電圧・電流が大きいので、細心の注意が必要です。
- 救援車(特に車)のエンジンをかけたままジャンプスタートすると、過度な電流が流れる危険があるため、救援車のエンジンは停止してから接続・始動を行うことが推奨されます。
モバイルバッテリー+専用充電器(ポータブルタイプ)

最近のバイク用品メーカーからは、USB-PD対応のモバイルバッテリーの電力を使ってバイクバッテリーを充電できるポータブル充電器が発売されています。
- 何に使うのか?
モバイルバッテリーを電源コンセントの代わりとして使用し、充電器を介してPCXのバッテリーに充電します。
- 特徴
- コンセントがない駐車場でも、時間さえかければ本格的な充電が可能です。
- ジャンプスタートではなく「充電」であるため、電装系への負担が少ないです。
- ただし、充電には時間がかかり、モバイルバッテリーも大容量のもの(20,000mAh以上推奨)が必要です。
道具がない場合の最終手段

上記の道具が手元にない場合は、自力での解決はほぼ不可能です!
【重要】PCXのバッテリーにアクセスする手順

PCXの外部充電で最もハードルが高いのが、バッテリー本体へのアクセスです。モデルによって位置が異なるため、ご自身のPCXの仕様を確認してください。
バッテリーの位置確認(モデル別)

PCXのバッテリーは、モデルチェンジによって搭載位置が異なります。
| モデル | 主なバッテリー搭載位置 |
| PCX125/150 (JF28/KF12) | フロントカウル内部(足元のステップボードの下)に位置します。 |
| PCX125/150 (JF56/KF18) | フロントカウル内部(足元のステップボードの下)に位置します。 |
| PCX125/160 (JF81/KF30 / JK05/KF47) | シート下のメットインスペース内部に移動しました。 |
重要
JK05/KF47型以降(現行モデル)の場合、現行型のPCXは、シート下のメットインボックス後端にある小さなメンテナンスカバーを外すだけで、比較的簡単にバッテリーにアクセスできます!
カウルを大々的に外す必要がないため、作業難易度が大きく下がりました。
バッテリーカバー(カウル)の取り外し方
ここでは、アクセスが比較的簡単な現行モデル(シート下)を前提に解説します。
旧型モデル(フロントカウル内部)の場合は、サービスマニュアルを参照し、複数のネジやクリップを外す必要があります。

出典ホンダ公式
注意!
カウルやカバーの固定には、ネジの他にクリップ(ピン)が使われていることがあります。
これらは無理に引き抜くと破損するため、内張りはがしなどの専用工具を使って、中心のピンを押し込んでから全体を引き抜くようにしましょう。
外部充電器を使ってPCXを安全に充電するステップ

いよいよ外部充電器を使って充電するステップです。接続順序を間違えると、ショートして車両側の電子部品を破損させる危険があるため、手順を厳守してください!
充電器の接続手順(重要!)

PCXに充電器を接続する際は、必ず以下の順序で行ってください。
絶対に避けるべきこと!
接続順序を逆にする(特にプラスから接続する)と、最後の接続時に火花が飛びやすく、引火やショートのリスクが高まります!
充電器の設定と開始

高性能なバイク用充電器には、様々なモードがあります。PCXのバッテリーを最適に充電するために、必ず設定を確認しましょう。
✅️適切な充電時間の目安
完全に上がってしまった場合、充電完了まで10時間から24時間程度かかることがあります。
高性能な全自動充電器であれば、充電完了(満充電)になると自動的に充電を停止し、フロート充電(維持充電)モードに移行するため、過充電の心配はほぼありません。
充電完了後の取り外し方
充電が完了し、インジケーターが「満充電」や「完了」を示したら、以下の逆の順序で充電器を取り外します。
これで安全に充電器の取り外しが完了しました。
PCXのバッテリーを長持ちさせるための対策

バッテリーは消耗品ですが、日々の使い方やメンテナンスで寿命を大きく延ばすことができます。
定期的なメンテナンスと走行

- 適度な走行頻度
バッテリーの健康を保つには、定期的な走行が最も効果的です。特に冬場はバッテリー性能が低下しやすいため、週に一度は30分以上の走行を行い、しっかりと充電系統を稼働させましょう。
- 端子の清掃
半年に一度程度、バッテリー端子に白い粉(サルフェーション)が付着していないか確認し、付着している場合は、外してブラシで清掃してください。清掃後、端子に接点グリスを塗布すると、酸化防止と通電性維持に役立ちます。
冬場や長期保管時の対応
長期間(1ヶ月以上)バイクに乗らないことが分かっている場合は、以下の対策を推奨します。
- トリクル充電器の使用
トリクル充電器やフロート充電機能付きの充電器を接続したままにしておくと、常にバッテリーを最適な電圧に保ってくれるため、自然放電を防ぎ、いつでもエンジンを始動できます。
- バッテリーの取り外し保管
完全に外して、暖房の影響を受けない涼しい場所に保管する方法も有効です。ただし、PCXはECUのメモリーがリセットされる場合があるため、時計やトリップメーターの設定をやり直す手間がかかります。
アクセサリー取り付け時の注意点
- 消費電流の確認
グリップヒーターやUSBポートなどのアクセサリーを取り付ける際は、必ず**消費電流(A)**を確認しましょう。
- リレーの利用
大電流を消費するアクセサリーは、メインハーネスから直接電源を取らず、リレーを使ってバッテリーから独立した配線を行うことで、車両の配線やECUへの負荷を軽減できます。
- キーON連動の徹底
エンジンを切った後もアクセサリーが通電し続けないよう、電源は必ずキーONで通電する配線から取るように徹底してください。
PCXのバッテリー交換が必要なサインと判断基準

外部充電を試しても症状が改善しない場合、バッテリーの寿命が尽きている可能性が高いです。PCXのISS対応バッテリーは高性能ですが、一般的に2年~3年が交換時期の目安とされています。
充電してもすぐに上がる場合

充電完了後、すぐにセルモーターの回りが弱くなったり、数日で再びバッテリーが上がってしまう場合は、バッテリー内部で化学反応が正常に行われなくなっているサインです。
満充電後、テスターで電圧をチェックし、12.6V以下しか出ない場合や、エンジン始動時に電圧が9V以下まで急降下する場合は交換が必要です。
セルモーターの回りが弱い?異音がある
キーをONにし、セルスイッチを押したときに「キュルキュル・・」という勢いのない弱い回転音になったり、「カチカチ・・」というリレー音しか聞こえない場合は、バッテリーのパワーが不足しています。
特に冬場にセルモーターの回転が顕著に遅くなる場合、バッテリーの蓄電能力が低下している証拠です。
最終判断
上記のようなサインが見られたら、無理に使い続けると走行中に不具合を起こすリスクもあります。安全のために、早めにPCXの規格に合った新しいバッテリーに交換しましょう。
交換作業も、外部充電と同様に正しい手順で行えばご自身で可能です。
最後に統括


PCXのバッテリー上がりは、適切な知識と工具があれば、外部充電器を使って安全に、そして確実に対処できるトラブルです。
この記事で解説した、充電器の選定、正しい接続・取り外し手順、そして日々のメンテナンス対策を実践することで、急なバッテリー切れの不安から解放され、PCXとの快適なバイクライフを続けることができるでしょう。
もし、ご自身での作業に不安がある場合は、無理せずバイクショップに相談してください。
しかし、この機会にバッテリー管理のスキルを身につけることは、PCXオーナーとして非常に有用な一歩となるはずです。
安全第一で作業を行い、快適なPCXライフを送りましょう!
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